
東京電力ホールディングス株式会社
経営技術戦略研究所 首席研究員 梅沢 修一
この度、大川 富雄前部門長の後任として、動力エネルギーシステム部門の第103期部門長を務めることになりました東京電力ホールディングス株式会社の梅沢と申します。東電の部門長は、本部門の創設に尽力した6代伊藤部門長、17代森部門長に続き3人目となります。これまでの先代部門長に対し力不足を感じる面はありますが、中垣隆雄副部門長、濱本芳徳部門幹事を始め、各委員会、及び部門の皆様のご協力をいただきながら、円滑な運営を図っていく所存です。
さて、今期の部門方針は、①脱炭素、②原子力再稼働、③産官学の協力により、「明るい明日のエネルギー」を築く、と考えます(図1)。①の脱炭素は、地球温暖化防止に資するため、急務であります。今年度の動力・エネルギー技術シンポジウムでも、8つのセッションを必要とする多数の再生可能エネルギーの投稿がありました。また、非化石燃料の導入も、例えば、(株)JERA碧南火力におけるアンモニア混焼が進められおり、部門推薦で2024年度の日本機械学会賞を受賞しました。今年度、さらなる企画を立案・遂行したいと考えます。
②の原子力再稼働については、2011年の東日本大震災前に稼働している原子力は日本で61基ありましたが、2024年12月に再稼働した東北電力(株)女川原子力2号機、中国電力(株)島根原子力2号機の双方を含め現在14基です。東日本大震災に引続き起こった東京電力福島第一原子力過酷事故により、安全に対する信頼が大きく揺らぎ、その信頼は現在に至るまで元のレベルまで回復していません。原子力再稼働を進めるには、原子力の信頼回復が欠かせません。本部門では、原子力工学国際学会(International Conference on Nuclear Engineering)を開催する等、原子力のさらなる安全性向上、新技術・廃炉技術の情報発信、そして、将来の原子力を担う若手研究者・技術者の育成に努めてきました。今後も継続し実施したいと考えます。原子力は大規模かつ安定電源であり、電力の安定供給に極めて重要な役割を果たします。また、原子力1基が稼働すると、同じ電力量を発電する火力発電の稼働を低減することができるため、年間数千億円の燃料費節減になります。現在日本は、電力・ガソリン等のエネルギー価格が上昇し、私達の生活を圧迫していますが、その対策としても有効と考えます。
③の産官学の協力は、初代部門長を務められた東北大学の戸田三朗先生が挨拶文で書かれているように、設立当初からの理念であり、他の部門と比べ、明確な特徴となっています。つまり、エネルギーの最前線である現場や、将来のニーズに基づいて、企業、大学、研究機関が協力・連携し、研究・技術開発を進め、その成果を実際に適用していくものです。これは、火力、原子力、再生可能エネルギー、ヒートポンプ等、いずれの分野でも当てはまります。この①、②、③はいずれもこれまで培った基盤技術の上に成立つと考えます。
一方、動エネ部門が現在直面している課題として、部門登録者数が減少傾向であること、部門登録者の年齢構成が(私を含め)上昇傾向であることが挙げられます。これについても、産官学で協力し見学会や講習会の積極的な開催等活動を進めています。
最後に、誠に恐縮ですが、個人的な動エネ部門との関わりを話します。私は大学院生の時は熱物性の研究をしており、東京電力に入社後、それを生かし、発電所の効率解析の研究をしていました。その成果を、International Conference on Power Engineering 1999に本部門主催・共催学会へ初となる投稿をしました。また、2003年に国際企画委員となり、その後、論文投稿、委員会活動を継続的に行っています。その間、部門から貢献賞、優秀講演賞、学会賞推薦をいただき大変光栄に思っています。それ以上に、部門での活動を通じて、多くの優秀な方と交流を持つことができ、感謝しています。このため、個人的な思いも深く、本部門の発展に微力ながら貢献したいと考えております。引き続き、皆様のご協力及びご指導・ご鞭撻を賜りたく、宜しくお願い申し上げます。

図1 動力エネルギーシステム部門の活動に対する自分の考え