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高専1年目の苦悩

一関工業高等専門学校
機械工学科5年  田中友浩

 去年の春、桜咲くころ私は工業高校を卒業して篇入学という形でこの学校の機械工学科の第4学年に入った。私がこの学校に編入した理由は、単期間で大学卒業と同程度の知識と技術を見に付けることが出来ると思ったからです。
 今までは、学生服だったけれども、この学校は私服で通学出来るのでその点でははしゃいでいたが、勉強について行けるか、という点では大変不安だった。不安は見事に的中して、登校初日の1校時の授業からさっぱり全然全く分からなかった。その授業は材料力学で、はりのたわみとたわみかくを求める際に微分を使っていたが、この当時の私は微分というのは高校で習った基本中の基本しか分からず、2回微分の記号や偏微分の計算は見たことすらなかった。もちろん積分についても同じだった。しかし、私はその後の勉強もせずに何とかなるだろうとたかをくくって数日間援業を受けていたが、次第にほとんどの教科が何等かの形で微分積分を使っているのに気付き、愕然とした。高校と違い高専では単位を落とせぱ容赦無く留年をしなければならないと聞いていたので大変焦った私は数学の教官の所へ行き、微分積分の教科書を貰って独学で勉強することにした。
 幸い、この学校は完全週休2日制だったので、土日を使って必死で勉強した。分からないところは友人に聞いたりした。しかし、週2回のレポート提出やその他の教科の課題などもしなくてはならないので、思うように進まず、自分で計算出来るようになるまでは2か月ほどかかった。
 ちょうどその頃は前期中間試験が始まる時期で、このとき私は初めて徹夜で勉強をした。高校のときのテストの勉強は1日せいぜい3〜4時間くらい、ひどいときは教科書を読むだけのときもあったが、それなりに良い点数を取った。しかし、高専では高校のときの何倍も授業のぺースが早く、テスト範囲が広くなる為、また、教科数も多いために今まで通りの勉強では全然足りなく、したがってぺース配分も考えずに連日徹夜をしたために、テストの後半では無理がたたって体調を崩し、結果は散々なものだった。
 やはり、短期間で大学卒と同程度の知識を身に付けるためにはそれなりに密度の濃い授業でなくてはいけないのだと痛感した。そして、授業での内容と帰ってから復習しなければ今回のようになってしまうのだと身をもって学んだ。
 しかし、5年生になった今でも、結局テスト期間中の徹夜は続いている。


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