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CAD

宮城工業高等専門学校
機械工学科5年  小野 光理

 私が在籍する機械工学科には様々な実験装置や工作機械があり、それぞれ実験や卒業研究で使用されていますが、今までで一番使用頻度が高いのはCAD室ではないでしょうか。
 CAD室は4・5年生の設計製図だけでなく、数値解析の演習や卒業研究論文の作成などにも使用されています。また、CAD室でCADシステムやプログラムの作成法などを学んでいます。低学年生の設計製図は製図室で手書きで行っており、製図の基本である線の種類やボルト・ナット、歯車などの規格から最終的には油圧ジャッキの設計を行い、製図します。その後に初めてCADを使用して製図を行い、私はその便利さと正確さ、時間的効率の良さを実感しました。
 CADで準備するのは設計書とフロッピーディスクだけで、今まで製図に必要不可欠な鉛筆、定規、製図用紙などを必要としません。操作もモニターを見ながらキーボードとマウスだけで簡単でした。また、製図用紙の大きさや尺度などといった初期設定を行なえば、それ以降の尺度などの数値変更を必要とせず、また、途中での製図の修正や記録が非常に簡単でした。しかし、その一方でフロッピーディスクは磁気や衝撃、ほこりに弱いということを身をもって体験することによって保管に大変気を使いました。
 機械工学科では手巻きウインチ、渦巻きポンプ、単気筒エンジンの製図にCADを用います。順に製図が進むにつれてその複雑さは増し、設計した強度寸法通りに実際書いてみるとその寸法が入らず、そういった不具合が生じることにその都度強度計算を余儀なくされましたが、CADではその寸法変更による周囲の寸法修正も簡単で、手書きではこんなふうにはいかなかっただろうと思います。
 私が設計製図を学んだのは高専生活の5年間であり、そのうちCADを学んだのは2年間だけですが、この短期間だけでもCADの有効性を充分に感じられました。特に時間的に制限される研究開発・設計製図にCADを使用するのとしないのでは、その差は歴然たるものだと思います。さらに技術と環境との関係を無視できなくなってきた現在において、CADを使用することで短縮された時間を、技術者がより人と環境に優しい設計をするために役立でなくてはいけないと思います。


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