目次へ戻る   前のページ   次のページ


エコラン’96

岩手大学工学部
機械工学科3年 渡辺由美

 10月19、20日の両日、私たち岩大チームはホンダエコノパワー燃費競技全国大会にはじめて参加しました。車づくりは、知識も材料もゼロからのスタートでした。チーム全員、手探りの状態で、本格的に制作にとりかかれたのが夏休みの直前となってからでした。技官の皆さんにご迷惑をかけながら、延々と同じ作業を繰り返し、なかなか組上がらないマシンに焦りを感じながらもものをつくることの楽しさを実感しました。遅々として進まない製作は、たくさんの方々の手をわずらわせることとなりました。直前になって、一関高専のみなさんにご指示を仰ぎにうかがい、高専の元で一週間前にようやく完成したという次第でした。 そんな風にしてできたマシンは、カウルもなく、むき出しのままでしたが自分たちの手で作り上げたという感激でいっぱいになりました。
 そうして大会当日。前日の公式記録会であまりにも燃料をくうマシンに、メカニックのメンバーが時間前に急速エンジンの調整をし、無事、目標どおり完走することができました。ゆっくりとゴールに入るマシンを見て、喜びもひとしおでした。
 これまでのことを振り返ってみると、新しくなにか事を始めるということは、熱意と根気が必要なのだと実感しました。元々、「エコラン」という言葉さえ知らなかった私が、この一年で経験したことはすべて未知のことでした。なにを、どうすればいいのか、すべて自分の判断で行うことの難しさは少しは学べたように思います。そしてまた、自分の手でつくったものが、実際に動くのを見る喜びを十分に感じることもできました。機械科に入っていらい、「なぜ機械科を選んだのか」ときかれると、その度に「自分の手でなにかものをつくりたかったから」と答えてきました。今回、エコランに参加して、それがはじめて実現しました。今後、より多くの岩大生がこの「つくる喜び」を感じられたら、と思います。最後になりましたが、製作に当たってお世話になりました皆様、本当にありがとうございました。


目次へ戻る   前のページ   次のページ