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エコランに参加して

岩手大学工学部機械工学科4年
          今松紀恵

 エコラン出場は昨年に引き続き二度目。今年のメンバーは親友八名(そのうち昨年の参加者三名)。エコラン参加は趣味としての活動なので決まった活動場所がない。昨年のマシンは実験棟の軒下で1年を過ごした。何かを始めるということの難しさを感じながらの活動であった。さらにメンバー全員が四年生であることも悩みの種であった就職活動に受験勉強にと忙しく、時間がなかなかとれなかったのである。
 結局大会一ヶ月前の九月から本格的な製作に入ることとなった。当初は昨年一週間で作ったフレームを新たに作り直したいという話しだったが、材料がないし時間もない。そんな中、私には今年どうしてもやりたい事があった。それは私の目標の一つである「カウルをつけて走ること」だった。もちろん、昨年の大会での成績のひどさに今年はせめて300km/lは走りたいという小さな目標もあったのだが…。ところがFRPについての知識が全くなく準備もしていない状態だった。そこで、エコラン参加の大先輩にあたる一関高専自動車部に御指導いただき製作が始まった。それから一ヶ月間、学校があっても早起きしない人達が週末のたびに朝から晩まで働いた。
 出発の当日、何とかマシンは完成した。念願のりっぱなカウル付き、タイヤも新調し、エンジンも昨年のノーマルより軽くなり、一ヶ月で見違えるマシンとなった。しかしテスト走行をする暇がなかった。マシンの性能を見ることができなかったことよりも、ドライバーがマシンに乗る暇もなく出発しなければならないことが心配だった。我がチームのドライバーは今年初参加、一度もマシンに乗ったことがない。それなのにテスト走行もせずに大会に連れていかれたのだから、今思えば少し残酷だったかもしれない。
 大会初日(10月18日)。快晴。
 昨年までの会場と変わり、今年から「ツインリンクもてぎ」での開催だった。この日の練習走行が我がチーム初のテスト走行となった。ドライバーの報告でマシンのクセを知ることができ、センスのよさに助けられた。この日でドライバーは走りを楽しむほどの余裕を見せてくれ二日目の結果が期待された。
 二日目(10月19日)。晴れ後曇り。
 公式記録会では、オーバルコースを五周する。一周するたび燃料の減り具合が気になる。他のチームがどうであれ、昨年の私達の減り方よりかなり良いことに安心した。無事完走することができ、記録は362km/lで昨年の三倍近い距離を記録し私達の中では納得のいく大会にすることができた。
 二年目にしてようやくエコランカーの見本のような基礎的なマシンが完成した。記録はまだまだかわいいもので、これからいくらでも改良できるといった点が魅力的なマシンである。幼い頃からエコランの話しを聞いて育ったが全く興味がなかった。それなのに一度大会を見に行き考えが変わった。昨年はエンジンの仕組みについてはもちろん、工具の扱いかたもままならぬ状態で「ハブって何?」と大騒ぎしていた。今ではこんなに夢中になっている自分が昨年からは想像もつかない。この活動を通して一つの物を作り上げる楽しさを知ることができた。言葉では言い表せない自分の変化や友人達の変化が、あまりにも目にみえて、おかしくもありうれしくもある。もちろんこれからも参加していくつもりであるが、現在四年生だけしかいないこともありメンバー募集中である。興味のある方、大会に参加してみませんか?


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