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技術倫理委員会

倫理規定を基本にした技術倫理委員会から会員へのメッセージ

1 日本機械学会の倫理規定について

日本機械学会の倫理規定は、1999年12月に評議員会の議を経て成立し、技術倫理委員会の慎重な審議を経て2007年12月に改訂を行いました。1999年の成立までに数年の準備期間がありましたが、日本機械学会が1997年に創立100 周年を迎えたことと無関係ではありません。
100周年を迎えるにあたって様々な議論が行われましたが、その中で、一世紀の歳月を経て発展してきた日本機械学会が、論文発表の場としてのアカデミック・ソサイエティの側面が非常に強くなっていることが指摘され、創立当初のような技術者、専門家の集まりであるという、プロフェッショナル・ソサイエティの役割も果たさなくてはならないという意見が強く出されました。それを受けて1997年には技術倫理WG が設立され、専門家集団として個々の技術者が自律的に活動するために必須の倫理規定の準備に入りました。
このような背景からもわかるとおり、日本機械学会の倫理規定は、専門家としての心構えを示すと同時に、人類の安全、健康、福祉のために良心的に行動する会員を守るということが大きな使命です。良識を持って倫理規定に従った行動をとる会員に対して、「そうです。自信を持ってあなたの考えに従って行動してください会はあなたの味方です。」というエールを送るものなのです。
このような考えを、もう少し具体的な形で会員の皆様に示したいと考えて、このメッセージを作りました。
困った時にはメールは、eec-chair@jsme.or.jp 宛にしてください。これは技術倫理委員会委員長だけが見られる電子メールです。

2 学会員の一人として

2.1 自分自身が倫理規定を守れないのではないかという悩みの場合

倫理規定に書いてあることは理想だが、自分自身には守れる自信がない場合、あるいは守らなくても良いのではないかと感じる場合には技術倫理委員会に電子メールをください。学会の倫理規定のあり方、倫理問題への対処法などについてご相談に乗りたいと思います。このような会員からのご意見は大歓迎で、以後の技術倫理委員会の活動にも反映したいと思います。

2.2 職場内の問題で悩んだ場合

職場内の問題は職場に内部通報制度がある場合はそれを利用するのが原則ですが、内部通報制度などを用いても職場内で解決できず、いよいよ困ったときにも機械学会技術倫理委員会に電子メールをください。企業等の団体内のことに、 どれだけ機械学会がお役にたてるかは、かなり限定的だと思いますが、ご希望があれば、報告者の氏名を伏せて、機械学会の意見を添えたうえで通報のあった旨を団体責任者に連絡することは不可能ではありません。技術倫理委員会で検討した後、理事会の承認を得て行うことになると思います。

2.3 情報公開に関して

職場として情報公開をうたっているにもかかわらず、情報公開が十分でないと感じる場合なども機械学会技術倫理委員会に電子メールをください。ご希望であれば2.2項と同様の対策をとることが可能です。
情報公開の原則と組織または契約者との守秘義務の間で、矛盾を感じた場合には、まず職場の上司に相談してください。ただし内部で解決の努力をしても問題が解決せず、危害の恐れが差し迫っている場合には、最後の手段として外部に公益通報することも考える必要があります。

3 特に若手会員として

3.1 職場の環境、上司の強制などで自分の意に反して守れない可能性がある場合

職場内の問題を円満に解決するには、所属団体内に内部通報制度などがある場合は、それを利用するのが良いと思います。そのような制度がない場合は、気心の知れた先輩、直接の上司ではない上位者などに相談するのが良いと思います。決して問題を一人で抱え込まないでください。困った場合には2.2と同様に行動してください。
所属団体に、倫理的に見て疑問の制度や習慣があり、結果として自分自身も日本機械学会の倫理規定が守れないような場合も内部通報制度を利用するか、あるいは2.2と同様の行動が良いと思います。職場の自浄能力が疑われるからです。

4 他の会員に対して

4.1 他の会員が倫理規定の第3項の不正行為禁止、第4項の法令遵守、第5項の契約の遵守と機密保持、第7項の利益相反回避、第9項の他者の知的財産の尊重、第10項の研究対象や研究協力者への配慮、に違反しているのではないかと考えて、学会の注意を喚起したい場合、または学会に忠告をしたい場合

技術倫理委員会に電子メールをください。関係者にこのような投書がありました(通報者の名前は伏せて)と連絡をして情報を共有します。
重大な違反と考えられる場合には正式の審査請求の提出をお願いし、学会で定めた「会員の不正行為の調査・審理に関する規則」に従って調査をする場合があります。

4.2 同様に他の会員が倫理規定の前文の機械技術者としての心構え、第1項の社会的責任、第2項の研鑽と向上義務、第6項の情報の公開義務、第8項の公平性の確保、第11項の環境整備、第12項の教育と啓発義務、に違反していると考える場合

非常に程度がはなはだしく、あるいは社会的な影響が大きく、学会の注意を喚起したいと思われる場合には、2.2 項に準じてご連絡をください。

5 職場の責任者として

5.1 職場をよりよいものにしたいと考える場合

倫理規定第11項(環境の整備)にあるように、職場環境の整備も会員の責務です。職場に倫理問題があるかないかにかかわらず、常に自由に意見交換ができる職場を目指し、迷いや悩みをもった部下、あるいは学生が、気軽に相談できる責任者であることを目指してください。また第8項(公平性の確保)はすべての会員が守るべきものですが、とくに職場の責任者はその言動に十分な注意を払ってください。

5.2 倫理問題について相談を受けた場合

職場の責任者である会員が、倫理問題で相談を受けた場合には、一人で問題を抱え込むことをせず、他の職場の責任者などとも相談して、解決を目指してください。考え方などで悩んだ場合には、機械学会の技術倫理委員会も相談に乗ることができます。
仲間うちでは解決できない相談を受けた場合は、組織の中に内部通報制度があれば、それを利用してください。もしそれがない場合には、一つの職場の責任者として、他の責任者と相談して、内部通報制度などの整備に努力してください。それが組織を守ることになります。

6 学生、生徒あるいは後輩を教育する立場として

6.1 後輩、社会にたいする教育、啓発

第12項(教育と啓発)にあるように、これも専門家としての会員の責務です。しかし、教える側と教わる側には厳然とした立場の差があることを意識してください。とくにこれを職業とする会員は、第11項(環境の整備)と合わせて、上下関係が厳しくなりすぎないように職場の整備に心がけてください。

6.2 得られた知識の公開に関して

第12項(教育と啓発)にあるように、教育活動によって得られた知的成果は積極的に公開するように努めますが、これが第5項(契約の遵守)と抵触する恐れがある場合は、十分な注意を払わなければなりません。近隣の職場を含めて、契約の中身を共有し、若い人にも契約の遵守を徹底する必要があります。

6.3 会員として

会員は学会を通して、後輩の教育と啓発による社会への還元を心がけてください。学会の重要な役割がそこにあります。若い会員は経験豊かな会員に接することによって成長します。