技術委員会研究会の活動

「音・振動快適化技術と新しい評価法」研究会

主査:川島 豪
神奈川工科大学

 2022年はコロナ禍ではありましたが2回の研究会を開催することができました.

 1回目は2月21日(月)に日本音響学会 騒音・振動研究会との共催により,合わせて55名の参加申し込みをいただきオンラインにて開催しました.

 牧野氏(京大院)による「静止音源と移動音源の音響伝搬特性の違いを考慮した交通騒音の音源モデル化手法に関する基礎検討」,本多氏(東海大院)による「差分法を用いた音場の数値解析への埋め込み境界の適用(散乱体が斜面を有する場合)」,酒井氏による(北大院)による「低周波音による振動感を最も強く知覚する周波数に関する検討」,田辺氏(中央大学)による「振動特性の統計解析および機械学習に基づく歯車装置の異常診断」,石川先生(九州大学)による「円筒管に設置した粘弾性体の付加質量・付加減衰モデル及び制振設計方法の提案」,田淵氏(神戸製鋼)による「反射音制御構造を有する音響ダクトの検討」の6件の講演を聴講しました.

 2回目は11月24日(木)に22名の参加申し込みをいただきオンラインにて開催し,戸井先生(中央大学)による「スマートサウンドデザインの最近の動向」,岩本先生(成蹊大学)による「対向型アクティブ波動ダイオードによる波動トラッピング制御」のご講演と,3月に長崎大学を退官されました林先生による特別講演「小型ファンの騒音と流れ」を聴講しました.最後の意見交換会では,ご講演に対する質問をはじめ活発な交流がありました.

 通常の研究会では,最後に場所を移して自由な雰囲気で語れる意見交換会を設けています.多くの情報交換が期待できる研究会です.皆様の積極的なご参加をお待ちしています.

 参加ご希望の方は川島(kawashima「at」eng.kanagawa-it.ac.jp),江波戸幹事(akihiko.enamito「at」toshiba.co.jp),もしくは,池田幹事(ikuma「at」ishikawa-nct.ac.jp)までご連絡ください.

 

NEE研究会

主査:添田 晴生
大阪電気通信大学

 2022年11月18日、NEE研究会第26回講演討論会を対面とオンラインのハイブリッド形式で開催した。対面での開催は3年ぶりとなった。

 NEE(Numerical Environmental Engineering)研究会は環境分野で数値計算を用いている研究者・技術者が幅広く集う場所の提供を目的として、年1回開催される研究会であるが、最近は、数値計算に限定せず、環境分野全般をテーマにして研究会を開催している。

 第26回研究会では「将来を見据えた再生可能エネルギー戦略」をテーマとし、シン・エナジー株式会社の乾 正博氏、関西電力の横谷 亮氏、神戸大学の大澤輝夫先生にご講演をいただいた。

 乾氏からはバイオマス発電の現状と今後の展望についてご紹介いただいた。次に横谷氏からは揚水発電の現状や揚水発電の価値、今後の揚水発電の活用の可能性についてご紹介いただいた。

 最後に大澤先生からは洋上風力発電の開発動向と洋上風況研究のご紹介をいただき、ヨーロッパの風況とは異なる日本の風況に適した洋上発電に関する今後の研究の展望についてご紹介いただいた。

 今回の参加者は対面とオンライン合わせて約45名程度であった。

 NEE研究会では今後も環境分野における講演を企画しており、多くの方の参加を歓迎いたします。NEE研究会のこれまでの活動については下記サイトで確認できます。

http://www.see.eng.osaka-u.ac.jp/seeea/seeea/NEE/J-NEE2.html

 

サーモインフォマティクス研究会

主査:宮崎 隆彦
九州大学

  本研究会は,地球温暖化やエネルギー資源に関連する諸問題に対して,エネルギーの最終形態である「熱」と「情報学」との融合によって既成概念を超えた革新的発展を追求することを目的に,2020年11月に活動を開始しました.

 昨年度に引き続き,オンラインでの研究会を年に2回開催しています。

 今年度は,9月28日に通算で第4回目となる研究会を開催しました。また,2023年3月13日に第5回研究会をオンライン開催する予定です。これらの研究会では,研究会参加者が取り組んでいる研究課題の紹介や情報学の応用事例に関する外部講師による講演を行なっています。また,意見交換の時間を比較的長くとり,充分な意見交換ができるようにしています。

 第4回研究会では,九州大学・Frantisek Miksik先生によるIoT技術関連の話題提供,及び,福井大学・党 超鋲から超臨界流体の伝熱予測への機械学習の応用やその他関連する取り組みについてご紹介いただきました。

 2023年度も引き続き研究会の活動を実施します。「熱」と「情報学」の融合に興味をお持ちの方は,宮崎(tmiyazak「at」kyudai.jp)までご連絡ください。

 研究会ウェブサイト: https://www.thermoinformatics.lab.uec.ac.jp

 

環境・エネルギー媒体研究会  (2023年3月 設置期間終了)

主査:田中 勝之
日本大学理工学部

 環境・エネルギーに関する研究の需要は増加しており、本年度は特にロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー不足への対応が喫緊の問題となっている。研究会は媒体、特に作動流体を扱う研究者が多く、ヒートポンプサイクル、ランキンサイクルの関心が高い。

 ヒートポンプサイクルについては、ヨーロッパの天然ガス不足による暖房の高効率化は必要で、より一層、高温出力型の大型のヒートポンプの開発が進むと思われる。

 従来のヒートポンプは、比較的低温域の利用であったが、より臨界点の高い高沸点物質を使用する必要があり、新しい媒体とその熱力学性質の研究は必要不可欠である。しかしながら、熱力学性質の測定装置も高温下で稼働するものが必要となり、その数は限られている。

 装置の高温化に伴い、使用可能なシール材やセンサーも特殊なものが必要となり、海外製の機器を探索して使用する等、ノウハウが必要である。したがって、媒体研究会では、まずは、高温域での測定を可能とするディスカッションが必要となるであろう。

 一方で、ランキンサイクルは、従来は水を作動流体としてきたが、低品位な熱源を利用した発電をするために、低沸点の有機物を利用したオーガニックランキンサイクルの開発が進められている。

 この作動流体は、高温出力型のヒートポンプと温度域は重なる。オーガニックランキンサイクルの小型発電機も開発され、このご時世で持ち運び可能な発電機の需要と関心は増加すると思われる。

 媒体研究会では、冷媒よりも沸点が高く、水よりも沸点が低い物質へのディスカッションができることを期待している。本年度もコロナ禍の影響で研究会を開催することは出来なかったが、来年度は開催したい。