
私が環境工学部門に部門登録をしたのは、2013年度から第4技術委員会に委員としてお誘いいただいてからであります。当時は、HFO系新冷媒の熱物性値の計測をしておりました。そのころの世の中は、2011年3月に発生した東日本大震災と、それに伴う原子力発電所の事故により、再生可能エネルギーの割合を増加させる研究がより一層活発になりました。私の研究も冷媒の熱物性計測だけでなく、低沸点の冷媒を作動流体として低品位の熱源でも稼働するランキンサイクル(オーガニックランキンサイクル)用の物質を対象とした熱物性計測が盛んになり、現在では、自動車の廃熱を利用した小型ランキンサイクル発電機の実機の研究に至っています。冷媒の物性計測では、冷凍空調学会での発表が多かったのですが、発電機まで応用する分野になると、機械学会で環境工学部門の環境総合シンポジウムでの聴講や発表は、とても参考になり、今は、機械学会で、なおかつ、この環境工学部門での研究活動が主軸になりました。研究者間の交流も楽しく、研究者にとってのアメニティ空間も創成されていると思います。私と同じように、ある程度、特化した学会で活動したあとに、知見を広げるために活動場所を探そうとする人は多いと思いますし、環境工学部門は、機械学会の中でも、幅広い分野を対象としていますから、その方々にマッチする部門になると思います。私の2025年度の活動の抱負として、環境工学部門の会員登録者数の増加と部門活動の活発化を目指します。具体的には、環境工学サロンの活用、環境工学総合シンポジウムSEE&環境工学国際ワークショップIWEE、環境工学に関する就職活動における大学と企業の連携、大学生の環境工学に関する課外活動促進、分野連携企画の強化です。
環境工学部門は、1990年度からスタートし、35年が経っています。当初から、4つの分野を核に活動が進められ、(1)環境振動・騒音、(2)ゴミ焼却に代表されます各種廃棄物処理、(3)大気汚染・水処理、(4)空気調和・冷凍・エネルギー環境に相当する技術委員会が組織され、現在は具体的に第一技術委員会「騒音・振動評価・改善技術」、第二技術委員会「資源循環・廃棄物処理技術」、第三技術委員会「大気・水環境保全技術」、第四技術委員会「環境保全型エネルギー技術」となって継続されています。そして、技術委員会を超えた分野横断型の活動も「先進サステナブル都市・ロードマップ委員会」や各研究会で繰り広げられています。新しい分野横断型の活動も受け入れて発足したいと思います。そのためにも、技術委員交流は必要不可欠であり、環境工学サロンを復活させることが重要と考えています。2009年度部門長で佐藤春樹先生の部門活動の抱負の中で述べられていますが、環境工学部門の標語を「先進サステナブル都市」としたのは環境工学サロンから、とあります。ちなみに、第1回環境工学サロンは、2005年に登別温泉で、原子力発電を話題としたホットな会合であったとのことでした。2025年度も、ある話題をテーマに数回のサロンを開きたいと考えています。例えば、この「環境と地球」を「環境と月」として、月でのアメニティ空間について議論したい、も面白いと思います。テーマに合った施設等があれば、見学会も併せて開催したいと思います。
2025年度の環境工学総合シンポジウムは、2025年7月18日(金)〜21日(月・祝日)の4日間にわたり、北見工業大学を会場として国際会議International Workshop on Environmental Engineering(IWEE2025)と同時開催します。IWEEは、3年間隔開催の予定でしたが、前回がコロナの影響で遅れて2023年に開催したため、前回から2年後となりますが、環境問題は世界で共通の課題ですので、国際会議を密におこなうことはとても良いことです。今回は、2019年に開催したときと同様にポスターセッションを設けています。コロナ禍では難しかったとても近い対面形式であるポスターセッションは、6年ぶりと言えますし、学生さんも参加しやすいと思いますので、大勢の参加者による国際交流が期待できます。講演会のほか、ウェルカムパーティーやバンケット、エクスカーションも用意していますので、様々な形での交流が可能です。会場となる北見工業大学の先生方にも多数ご協力いただいております。エクスカーションでは、3つのコースを用意していますが、その中の1つには、北見工業大学のカーボンニュートラル実現に向けた研究施設として美幌町に建設された美幌実証実験住宅を訪れるコースもございます。海外からの参加者を含めて、初めて北見を訪れる方々もおられると思いますので、この機に北見に来なければ見れない施設を見に来てください。詳細は、ホームページを開設しているので、そちらをご覧ください。
https://www.jsme.or.jp/env/iwee/2025/
機械学会の分野が広いのと同様に、環境工学の分野も広く身近なテーマが多いので、機械学会への入会を環境工学部門経由で奨めるのは適していると思います。まずは、これまで以上に大学生の入会を促進したく、企業の方々に協力いただいて、例えば学会員限定の就職セミナーを開きたいと思います。最近は、キャリアデザインという講義も現れたので、学会活動経由の企業紹介も良いと思います。学生会員は、4年生で研究室に配属されてから入会している人が多いと思うので、入学直後の学生でも魅力が伝わり、活用してもらえるように宣伝したいと思います。日本大学理工学部には、未来博士工房という1年生から3年生が活動可能な工作機械が揃った設備があり、課外活動としてものづくりをすることが出来、様々なコンテストに参加しています。日本大学理工学部には14の学科があり、8つの工房があります。私の所属する精密機械工学科では、ロボット工房がありますが、学科を超えて、機械工学科のフォーミュラー工房に参加する学生もおり、分野を横断可能です。この記事を書いていて気付きましたが、環境工学工房がありません。さっそく、設立を検討します。環境工学に関するテーマを学生から募集することのほか、企業から扱ってほしいテーマと資材のご提供をいただけると活動が活発化します。また、活動の最終目標として、コンテストの参加があります。環境工学コンテストとして、適しているテーマを検討したいと思います。
環境工学は、身近なテーマが多いので、高校生にも興味を持ってもらえます。大学には付属の高校もあるので、高大連携の活動は容易です。環境工学コンテストの高校生部門の実施が考えられます。環境問題を解決するには、長い年月が必要であり、若い頃から取り組んでいただきたいと思います。また、環境に世代は関係ありません。高齢の方々が次世代の子供たちを心配しますので、退職された後の余暇でご協力をいただくイベントも有意であると思います。