お問合せ
E-mail: mmd@jsme.or.jp

第95期部門長挨拶

部門活動の現状とさらなる活性化への期待

第95期部門長 岡村 一男
新日鐵住金株式会社 技術開発本部

井上裕嗣前部門長(東京工業大学)の後を引き継ぎ,第95期の材料力学部門長を務めさせていただきます.多田副部門長,平方幹事をはじめとする部門運営委員会の皆様とともに,材料力学部門の運営の円滑化と活性化に微力ながら努めてまいります.どうぞよろしくお願いいたします.

直近の材料力学部門登録会員数を表1に示しました.第3位までの登録会員数の50%強が産業界の会員であり,これは他の部門でもほぼ同じです.第3位までの登録会員数に占める第1位登録の比率も約50%であり,これは他の多くの部門が30-40%なのでかなり高い比率となっています.


過去3年間のM&M材料力学カンファレンスへの参加者,発表件数を表2に示します.例年,第1位登録会員の20%の方々がカンファレンスに参加され,参加者の8割程度の件数の発表がなされています.第1位登録会員の5割弱を占める産業界の会員には製造や商品開発に関わる技術者も多く含まれ,これらの方々の成果は秘匿せざるを得ないものが多いことを考慮すれば,会員数に対する発表件数の割合は低くはありません.OS等を始めとする企画が成功していることの証左と思います.今後もこの比率を維持することがしていくことが一つの目標になります.

M&M材料力学カンファレンスは材料力学部門における主要行事の一つですが,部門ではこの他に年次大会での企画,講習会の開催,分科会・研究会の設置を実施しています.今期は計画がありませんが,定期的に国際会議の主催も行っています.これらの活動は,2014年に制定した部門のポリシーステートメント

1. 基礎学術の深化と普及
2. 実用的課題の抽出と解決策の提示
3. 国内外での地位向上とリーダーの育成

と一体になったものです.この推進には学と産,官の協力,協同が望ましく,特に実用的課題の抽出と解決策の提示においては,産学の緊密な連携が不可欠ではないでしょうか.2017年5月5日の日刊工業新聞一面には,大学「稼ぐ組織」へ,と題して政府は企業から大学などへの投資を3倍に増やし,従来の研究者同士のつながりによる共同研究から大学と企業が組織同士で契約して,共同開発までを行う産学連携への転換を促すという記事が掲載されました.国際競争力が熾烈化する中,技術開発の加速と効率化を考えればこのような産学連携の必要性も理解できますが,中短期的成果の追求に軸足を置くので,基礎的な基盤研究や人材育成の色彩が薄れることが危惧されます.これに対して,機械学会が提供する連携の場である分科会では特定分野での萌芽的な技術の調査・研究あるいは既存技術の高度化を,研究会ではより広範なテーマ・領域を対象として基礎的研究ならびに新分野の調査, 将来の研究テーマの開拓・育成を行う事を目的としています.材料力学部門では現在,3つの部門直属分科会(P-SCD)と4つの部門直属研究会(A-TS03)が活動しています.また,一つの部門協議会直属分科会(P-SCC)に他部門と協同参加しています.昨年の副部門長挨拶でも述べましたが,分科会や研究会では通常の学会講演よりも密度の濃い情報交換ができるので,技術の深化・醸成だけでなく,各々の参加者のポテンシャルアップにも役立つものと考えます.そこで部門ホームページでは,分科会・研究会の活動内容や予定に関する情報を今まで以上に充実させることを計画しています.その情報が新たな分科会・研究会の提案・申請へつながることを大いに期待いたします.

材料力学カンファレンスや,分科会・研究会などにおいて,情報の収集や情報の交換を行うことは大事ですが,これらを通して若い方にはさらに,自分にとって未知の方法論や新知見に接した時のわくわく感や,新しい方法論や知見を既に手にしている人への羨望と持たない自分に対する焦燥を感じて欲しいと思います.そのような経験が契機となって自らをポテンシャルアップする自育につながり,さらには部門の活性化にもつながるものと期待します.



第95期副部門長挨拶

会員のメリットを生かした皆さんの一歩を期待します

第95期副部門長 多田 直哉
岡山大学 大学院自然科学研究科

このたび材料力学部門第95期副部門長を仰せつかりました.初年度は,部門の運営について勉強させて頂くとともに,岡村部門長と協力し,微力ながら部門を支えていきたいと思います.何卒よろしくお願いします.

このニュースレターをお読みの皆さんは,日本機械学会の会員だと思いますが,どのようなきっかけで入会されましたでしょうか?先輩や上司,同僚に勧められた,学術活動や仕事をする上で必要になった,講演会に参加するため,何となく雰囲気で,など何らかの理由があったと思います.自分はどうだったかと言うと,実ははっきりと覚えていませんが,学会で発表するには会員でなければならなかった(+会員になると参加登録料が安い),機械工学の分野で今後も仕事を続けていくためには機械学会に入会しないといけない(ような雰囲気があった),くらいでしょうか.私の場合は,大学院生からそのまま大学教員になったため,大学院修了後も会員はそのまま継続しました.しばらくすると,講演会の会場設営や資料準備等の小さな仕事を色々と任されるようになりましたが,若手の頃は,学会というものは主に研究成果を発表したり,他の方の発表を聞いたりする場でしかありませんでした.あえてもう少し踏み込んで言うと,学会は自分とはあまり関係の無いところでちゃんと運営されており,それほど深く関わらなくても大丈夫,という意識でした.しかしながら,年齢も30台半ばから40台になり,いわゆる若手と呼ばれる世代から追い出されると,入れ替わり立ち替わり運営がらみの仕事が舞い込んできて,それらをこなすうちに学会を担っているような感覚が沸いてきました.私も材料力学部門関連では(中にはすでに名称の変わった委員会もありますが),広報委員会,総務委員会,第1技術委員会(年次大会担当),第2技術委員会(将来構想),第5技術委員会(学会・部門賞担当),学会賞委員会等を務めました.これら以外にも,中国四国支部と計算力学部門でも色々な仕事をさせてもらいました.

ところで,これらのボランティア的な仕事をこなしてきて,結局,何を得たのでしょうか?最も大きな成果は,学会等で積極的に活動している他大学の研究者や企業の方々と知り合うことができ,そのような方々と話をすることで,わずかながらの信頼を得たことだと思います.研究には,すぐれた着想,実行力に加え,他人からの援助と協力が必要です.これまで研究を進める上で,この学会,部門で築いたネットワークは大変役に立ったと感じています..

最近は,これまで以上に産学連携が求められています.私もそのきっかけを作るため,平成26年に「hcp金属の実験,解析,特性評価技術に関する調査研究分科会」を立ち上げ,昨年度末までお二人の幹事(名城大学の清水憲一先生,岡山大学の上森武先生)とともに活動を続けてきました.実は,分科会の立ち上げに躊躇しているとき,当時の部門長に相談したのですが,そのときに返ってきた言葉が分科会立ち上げの決め手となりました.「何でもいいから作ってみたら良いじゃない.すぐに終わる分科会があったとしてもそれなりに意義はあるでしょう.」この分科会は,これまでほとんどお付き合いの無かった日本チタン協会の方々と共同で立ち上げた分科会ですが,今期も形を変えて継続することになりました.皆さんも産と学が連携できる環境である日本機械学会材料力学部門に所属するメンバーとして,産学連携の一歩を踏み出してみませんか?私に決め手の一言を期待してもらっても困りますが,部門長とともに微力ながら応援させてもらいます.

ページトップへ