世界最高速エレベータの開発

TAIPEI 101 全景

  世界最高速となる1,010m/分のエレベータが開発され、TAIPEI101に納入された。
 TAIPEI101は台湾の台北市に建てられた世界一の高さ508mを誇るビルである。高速運転で昇降することに対応するため、機器の大容量化・振動および騒音の抑制・快適な乗り心地のための気圧制御装置・安全装置、さらには快適性の向上を目指した様々な技術開発が実施された。
 まず、エレベータを駆動するPMSM※1方式の大容量巻上機とその制御装置であるが、巻上機は最大出力1,186kW、定格出力180kWであり、ツインインバータドライブ構成により、コンパクトで高出力の制御を可能とした。
 次に、乗りかごの振動および騒音を抑制するために、おもりの慣性力を応用してレールからかごに伝わる加振力を減衰させるローラガイドと、かごの横揺れを検知し、能動的に振動を低減するアクティブマスダンパーを取り付けた。また、かごまわりの風の流れを整流し、かご内の騒音を抑制する整風カプセルを、風力解析により最適形状を決定して採用した。
 さらに、快適な乗り心地を目指し、400m級の高揚程での耳詰まり現象を緩和するため、エレベータとしては世界で初めてかご内気圧制御装置を設けた。減圧試験設備を用いたモニタリングテストにより、制御方法を検討した。その結果、昇降時のかご内気圧変化率を一定にすれば、耳詰まり現象を緩和できることが判明した。そこで、かご下に設けた吸排気ブロアにより気圧変化率を一定に近づける制御を実現した。
 万が一かごが規定速度以上で降下した場合、非常止め装置が作動して乗りかごを安全に停止させる。本非常止め装置では、停止時に発生する1,000℃を超える摩擦熱にも耐える、ブレーキ材を開発し、装備した。
 その他、風や地震などにより建物が揺れることによりロープが大きく揺らされる振動現象が発生する。そこで、ロープ振動による他の機器への絡みつきなどの障害を防止するため、ロープの非線形挙動解析を実施し、制振装置を開発して設置した。
 2004年12月31日にTAIPEI101のグランドオープンが催され、1月19日より展望台までの営業運転が開始された。その走行スピードと快適性について、多くの方々に実感されている。

※1 Permanent Magnet Synchronous Motor:永久磁石同期電動機

開発項目 気圧制御装置構成図

記事・写真提供:東芝エレベータ(株)

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last update 2004.09.20 Copyright(C) JSME TLD