大会長挨拶
LIFE2026 大会長挨拶:実工学による「温故知新」——次なる四半世紀の創造
21 世紀の最初の四半世紀の締めくくりとなった昨年の LIFE2025 を経て、私たちは今、新たな四半世紀の第一歩として LIFE2026 を開催いたします。本大会を開催するにあたり、これまで本分野を切り拓いてこられた先達の皆様、そして日々研鑽を積まれている皆様に心より敬意を表します。
直近の 3 大会を振り返れば、私たちは医学・福祉と工学を「Assistive Technology」として再定義し(2023 年)、生体医工学との同時開催を通じて「学術多様性と効率」の両立を模索し(2024 年)、そして昨年の 2025 年には、3 学会連合としての歩みを「次の四半世紀」へと繋げる決意を固めました。この流れを受け、本大会のテーマとして実工学による「温故知新」を掲げたいと思います。
まず温故知新についてです。私たちが向き合う医療福祉工学の歴史は、常に「現場の切実な声」から始まってきました。ICT や AI、ロボティクスといった最先端技術が目覚ましい進化を遂げる今だからこそ、私たちはかつての「経験の学問」が大切にしてきた対人支援の本質や、諸先輩方が築き上げた 3 学会連合の原点に立ち返る必要があります。過去の知見を尊び、そこから普遍的な知恵を学び直すことで、初めて真のイノベーションが創出できると確信しています。
そして、このイノベーションを創出する指針が「実工学」と考えます。本分野における工学は、単なる理論の追求に留まってはなりません。研究室で生まれた理論や技術は、これが医療・福祉の現場で実際に活用され、高齢者や障がい者、そして支援に関わる全ての人々の「生活の質(QOL)」が向上することで、はじめて価値が証明されます。このように理論と実践を密接に結びつけ、社会に実装し価値を生み出すことが「実工学」であると考えています。
昨今の自然災害や不安定な社会情勢は、私たちの生活の脆弱さを浮き彫りにしました。しかし、LIFE が長年培ってきた「多職種・多立場による対話」という強固な基盤があれば、いかなる困難も乗り越えていけるはずです。本大会が、「実工学」の議論を通じて、「温故知新」の場となり、人々の生命・生活・人生を支える強固な礎となることを切に願っております。皆様の活発なご参加と、熱意ある対話を心よりお待ち申し上げております。
一般社団法人 日本機械学会(幹事学会)・機素潤滑設計部門大会長
日本工業大学 中里 裕一