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産業・化学機械と安全部門

部門長挨拶

産官学の知の融合で切り開く、人と機械が調和した「安全」の未来

独立行政法人労働者健康安全機構

労働安全衛生総合研究所

新技術安全研究グループ 統括研究員

清水 尚憲

1.はじめに

この度、日本機械学会 産業・化学機械と安全部門の部門長を拝命いたしました、独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所の清水尚憲です。

私はこれまで、主に「労働安全」の分野を専門とし、機械システムそのものの安全性向上に加え、そこで働く「人」がいかに安全かつ健康に業務に従事できるか、という視点から研究・活動を続けてまいりました。本部門は、産業・化学機械というハードウェア技術と、運用・管理におけるソフト面、そして安全を守るためのマネジメントが交差する、まさに現場の最前線を支える部門です。この重責を担うにあたり、身の引き締まる思いです。

 

2.産業界が直面する課題と「産官学連携」の必要性

現在、産業界はGX(グリーントランスフォーメーション)やDX(デジタルトランスフォーメーション)といった大きな変革の波の中にあります。しかし、技術が高度化・複雑化する一方で、現場では依然として労働災害がなくならず、また熟練技術者の減少による「安全の継承」が危ぶまれています。

これらの課題は、もはや一企業の努力や、アカデミア単独の研究だけで解決できるものではありません。 産業界が持つ「現場の切実な課題・データ」と、学術界が持つ「理論的アプローチ・先端技術」を、これまでの形式的な連携を超えて、実効性のある形で融合される「真の産官学連携」こそが、今求められています。

 

3.今期の活動方針:産官学連携による「安全」の再構築

本部門では、以下の活動を通じて、産官学の垣根を超えた共創の場を作り出してまいります。

1.現場課題解決型の産学連携の推進 「労働安全」の観点から、現場で発生しているヒヤリハットや潜在的リスクをアカデミアと共有し、AIやセンシング技術を用いた具体的な解決策を模索する場を設けます。理論を現場に適用し、そのフィードバックを再び研究に活かすエコシステムを強化します。

2.人と機械の協調による「新しい安全」の確立 協働ロボットの普及や遠隔操作の進展に伴い、労働安全の定義も変化しています。「機械がいかに人を守るか」だけでなく、「人と機械がいかに協調して安全を高めるか」という視点で、技術的な安全基準と人間工学的な知見を融合させた議論を深めます。

3.次世代の安全人材を育てる相互交流 学生や若手研究者が企業の現場を知り、企業技術者が最新の理論を学ぶ。そのような双方向の交流(インターンシップ、共同研究、現場見学会等)を活性化させます。安全文化を理解し、実践できる人材を、産学が一体となって育成することを目指します。

 

4.むすびに

「安全」は、企業にとっては経営の基盤であり、働く一人ひとりにとっては生活の基盤です。 私の専門である労働安全の知見を活かし、産業・化学機械の技術発展が、そこで働く人々の幸せに直結するよう、産官学連携の「触媒」となって尽力する所存です。

会員の皆様におかれましては、ぜひ所属の垣根を超えて本部門の活動にご参画いただき、活発な議論と交流をいただけますよう、心からお願い申し上げます。