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産業・化学機械と安全部門

部門長挨拶

2020 年は、皆様の人生においてもっとも大きなインパクトのある1年だったのではないだろうか。コロナウィルスが世界中に蔓延 し、世界中のほとんどの国が巻き込まれた疫病・感染症の災難が起こり、さらにはこれが原因で各国のほとんどが経済的にも追い込まれる状況が起こった。しかし、困っている状況は何処も同じように見えるが、よく見ると既に回復した国や著しい回復を見せる国、回復に時間がかかる国、見通しの見えない国等、様々である。日本もできる限り速やかに回復し世界経済の波に乗ってほしいものである。

過去を振り返ると、伝染病と人間の行動変化に伴う文明は、予期せぬ伝染病の大流行を招くことが分かっている。例えば、インフルエンザ(航空機の発展に伴う移動様式変化)、マラリア(急激な都市開発)、ペスト(人間の移動、都市化食料備蓄方式の変化)、結核 (劣悪な労働環境、産業革命による機械化による大量生産)、コレラ(交通網の発展)、梅毒とエイズ(移民による大都市への移動)等々は、人間の行動様式の変化に伴い大流行となった経緯がある。これらの過去の事実関係が即今回のコロナ急拡大に当てはまるかどうかは分からないので、歴史的な考証が必要であろうが、仮にそうだとするとすごく納得のいく説明が出来上がる。

コロナ騒動が、人間による行動様式の変化が生んだ産物であるならば、人間は歴史的にそれらを克服してきたのである。結核と産業 革命は最もイメージが湧きやすいが、多くの死者を出したものの、それらを克服する原動力である資金を集めたのは紛れもなく産業革 命の商品流通革命による大量資本の出現であったことも忘れてはいけない。今我々のグローバル社会では、数年前からドイツの提唱したIndustry4.0から始まり、様々な分野でデジタルトランスフォーメーションが行われている。産業革命よりも大きなパラダイムシフトによる時代の切替わり(時代の転換期)が起こっている。そう考えることで見える未来がある。少し強引な論法になるが、勝てる戦場で本気で勝ちに行くことが求められているのではないかと考える。

では、勝てる戦場について検証してみる。アメリカのパソコン市場を例にとって考えてみると分かりやすい。IBM とベル研究所が 中心となり今あるパソコンの骨格となるアーキテクチャを1980年代に完成させる。ハードウェアの長期戦略モデルでありこの当時の設計を延長するだけで約30年近く(IBMはPCの版権を中国へ譲渡するまで)もハードウェアを独占して利益を確保。その後、ソフトウェアに関しても同様に独占的にWINDOWSが存在し未だに40年以上も独占している。そして、その後、さらにアプリケーション側ではGAFAと呼ばれる産業が世界中のマーケットを相当数確保している。これと同じようなことが日本発でできないか?と考えればおのずと見えてくるものが無いだろうか?世界に誇るハードウェ アとしては、自動車、それにロボット、工作機械がある。無いのはこれに搭載するOSであり、OS上で走らせるアプリケーションソフトウェアである。これらを本気で構築すれば確実に産業革命以上のパラダイムシフトを日本発で起こせると確信している。大切なのはDX産業革命につなげるという目的意識を持つことで日本のゴール設定が明確になることである。そのために、この部門での安全講習会等をサポートし、もっと広く安全の基礎を理解して世界に飛び出せるように運営委員の皆様、事務局の皆様と共にこの1年を作っていきたい。

出展:大谷 明「文明と伝染病 : その関連の歴史」日本細菌学雑誌58(4): 657-662, 2003


 

2021 年度(99 期)

産業・化学機械と安全 部門長

テュフズードジャパン株式会社

機能安全部 部長

淺井 由尚