部門長就任のご挨拶

長南 征二
東北大学
機械電子工学専攻

はじめに

2000年4月より山田一郎部門長に引継ぎ,第6代の情報・知能・精密機器部門長 を拝命することとなりました.これから2年間,同じく新任の寺山孝男副部門長(日 立)ともども,部門の活発な活動と運営,発展に努めていくつもりでおります.皆様 には種々ご指導,ご鞭撻を頂くことと思いますが,何分宜しくお願い致します.

情報・知能・精密機器部門の現状と発展

  さてこのところ,機械学会の内部では部門の統廃合の問題が話題となっております .ちなみに情報・知能・精密機器部門の現状を申し上げますと,昨年末のデータで本 部門登録者数は約4500名,機械学会所属の20部門中では第10位となっており ます.内訳は部門第1位登録者数が14位である一方で,第3位登録者数は1位であ ります.部門が実力を発揮するためには部門登録者数の増加を目指すことは無論であ りますが,第1位登録者数の増加に努めるべきことは申すまでもありません.情報・ 知能・精密機器部門の学問上の守備範囲は機械学会の他部門,たとえば機械力学・計 測制御部門,ロボティクス・メカトロニクス部門,基礎潤滑設計部門,バイオエンジ ニアリング部門等と競合する部分がかなりありますが,これらの部門とは協調・交流 していくことは無論である一方で,当部門として学問上の特色を出していくことが部 門の将来の発展につながるものと思います.企業の世界でも,大企業ではないが優良 企業といわれる企業が数あります.これらの企業はいずれも,独自の技術を確立して いるところに特色があります.部門としてさらなる発展をするためには,他部門と競 合しない独自の特色ある学問分野を守備範囲とすることが必須と思います.学会の役 割のひとつに,機械工学の知識を一般社会へ普及することが挙げられますが,昨年度 は当部門として講習会「精密工学の最先端と情報通信機器への応用」,「情報・精密 機器のマイクロメカトロニクスの現状と動向」を開催し,若手研究者・技術者へ情報 を発信致しました.今後も部門として,特色ある講習会の開催を進め技術の普及に努 めていきたいと思います.さらに若者の理工科ばなれが進むなかで,一般社会に対し てはホームページを積極的に活用し,情報を伝えていくことが必要と思います.

学術講演会

機械学会全国大会が各年度の中期に開催されるようになったことに伴い,従来は夏に 開催されておりました当部門のIIP講演会は,昨年より春に開催されることになり ました.老舗の情報機器コンピュータメカニクスや情報機器マイクロメカトロニクス に加え,マイクロエネルギー,生物医学工学における計測と制御,機械の知能化等, 新しい分野がオーガナイズドセッションとして設けられました.発表形式も,3分間 のショットガン(口頭発表)にポスター併用形式となりました.ショットガンで全体 を把握,ポスターを前に講演者と討論さらに詳細をつめる本方式は,必ずや講演会に 活性をもたらすものと期待しております.

若い世代への期待

  日本の将来を考えたときに,人口の老齢化,若年層の減少は明らかであります.学 会全体はもとより部門の維持繁栄を考えるならば,若い世代の協力を仰がなくてはな りません.後世を託す次世代の研究者・技術者を引立てていくことが,部門の主流メ ンバーであるシニア諸兄の役目かと思います.当部門では部門関連分野の講演論文中 ,技術進歩への寄与,内容の新規性及び社会的インパクトが特に顕著に認められる論 文の発表者に対して部門優秀講演論文賞を贈呈するとともに,発表時に30才未満で ,技術の発展性が特に顕著に期待される論文の発表者に対して優秀講演奨励賞を贈呈 しております.これらの部門賞に対して若手研究者・技術者を積極的に推薦していた だくこともシニア会員の方々の務めと思います.何分宜しくご協力のほどお願い致し ます.

Last Modified at 2000/6/13