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情報・知能・精密機器部門ポリシーステートメント

1.部門活動概要

本部門は、高度情報化社会の基盤となる各種情報・知能・精密機器を対象として、そのテクノロジーの学問的基盤を確立するとともに、それらの創造と発展に寄与することを目的として1991年に設立され、2016年に25周年を迎えた。機械工学で基本とされる材料力学,流体力学,熱力学,機械力学等を「縦糸」とすれば、本部門はいわば情報・知能・精密・医療等をキーワードとする「横糸」に位置づけられ、より産業や社会に近い立場で創造的な活動を進めている。本部門が対象とする分野には、「情報機器コンピュータメカニクス」,「情報機構マイクロメカトロニクス」,「柔軟媒体ハンドリングと画像形成システム」といった部門の設立趣旨の根幹を成す情報機器関係の分野、さらに、近年特に重要性が増している「知能化機械」及び「医療福祉機器」といった分野、これらに加えて共通基盤技術としての「マイクロナノ理工学」や「トライボロジー」などの基礎的学理の分野がある。近年、M&Aによる産業界の再編や、新たなコンセプトの情報機器の創出、IoT(Internet of Things)など、産業界はグローバルに、ダイナミックに変化している。我々はより産業・社会に近い立場で、その発展に貢献してゆくため、このダイナミックな産業界の変化に対応し新分野への積極的な展開にも挑戦していく方針である。

2.学術・技術の普及と発展活動

(当該学術普及,独自の学術成果公表,学術育成・支援活動の実績,新学術誌での貢献,英文Journalの展開などの目標)

(1)独自の学術成果公表
  毎年開催される部門講演会は、年次大会と共に部門の活動の中で最重要に位置づけられる講演会である(約3年に一度は後述のMIPE会議として開催)。この講演会では毎年2日間に亘ってキーノートスピーチ2件、主要な「横糸」を機軸としたオーガナイズドセッション9件程度で約80件の研究発表を行い、情報知能・精密機器技術に関わる産・学・官の研究者ならびに技術者の最大の交流・情報交換の場とすべく活動を行っている。
本部門の活動の特色である「横軸」の新機軸を生み出すべく、2014年度に策定した部門ロードマップに基づいた部門特別企画の立案と、講演件数を100件程度に増加させることを目指す。

(2)分科会活動
部門活動の基盤が分科会・研究会活動にあるとの観点から、分科会の立ち上げを進めてきた。現在、「柔軟媒体ハンドリング技術及び応用プロセスに関する調査研究分科会」,「情報機器のメカニクス制御に関する研究会(2)」といった本部門の重点研究分野の2つの分科会を推進している。こうした分科会・研究会活動の継続、ならびに、その他の「芽となる領域」の分科会立ち上げを2014年度に策定した部門ロードマップに基づいて提案・推進していく。

(3)技術者育成
学会活動の大きな柱として技術者教育がある。本部門では講習会を定例的に企画・開催している。これまで分科会・研究会活動の成果を広く世の中に還元するための講習会を中心に行ってきた。とりわけ2007年に立ち上げた「情報・知能・精密機器部門学生サマースクール」は、平均で約67名の参加者を得て毎年継続的に開催されており、部門の講習会として定着してきている。今後は、上記講習会を中心に、若手・中堅技術者の教育・自己啓発に大きく貢献する本部門独自の基礎的な講習会のテーマを検討していく。

3.対外的部門活動

(公益事業活動,国際交流活動,関連学協会・他部門との連携活動,社会貢献,地域・支部との共同事業などの目標)

(1)他部門との連携
本部門のベースとなる製品技術群は、種々の基盤技術が複合化されたものである。このため、部門活動は技術横断型となり、多くの関連部門(機素潤滑設計部門,マイクロ・ナノ工学部門,ロボティクス・メカトロニクス部門,交通・物流部門,機械力学・計測制御部門)とコラボレーションし、年次大会で合同オーガナイズドセッション等を企画している。

(2)関連学協会との連携
技術開発のグローバル化に対応して、部門活動にも国際化が求められている。米国機械学会(ASME)で当部門とほぼ同じ技術分野をカバーするISPS部門と共催してMIPE会議(Joint Conference on Micromechatronics for Information and Precision Equipment)を、約3年に1度のペースで開催している。過去、2003(横浜),2006(米Santa Clara),2009(筑波),2012年(米Santa Clara),2015年(神戸)に開催された。毎回、広範な分野から多くの参加者が集まる活況ある国際会議となっている。今後もASME側と連携して日本とアメリカとでの交互開催を継続する。

4.部門活性化活動

(会員増強,運営組織・体制の健全化活動,将来戦略,新領域開拓活動などの目標)

(1)表彰制度
本部門は、部門活動の活性化と情報・知能・精密機器部門関連技術分野の発展を目的に、日本機械学会部門賞通則に従い、「功績賞」,「優秀講演論文賞」,「優秀講演奨励賞」の3つの部門賞と、「ベストプレゼンテーション表彰」と「部門貢献表彰」の2つの部門一般表彰を設けている。2013年度には表彰制度の趣旨に則って一般表彰対象の新設や表彰人員の見直しなどを行い、多様化してきている本部門の研究分野への対応を図っている。

(2)ロードマップの策定
本部門がダイナミックな社会の変化に対応し、タイムリーな技術貢献をし続ける為に、2014年度に「ロードマップ委員会」を組織して部門独自のロードマップを策定した。活動の出口として長期的な部門のビジョン策定と体制創りへの展開を掲げ、「もっと活性化,もっと楽しく」をスローガンに第一次ロードマップを策定した。それ以降定期的にローリングを行いロードマップの鮮度を維持する。

(3)部門の将来構想および25周年記念事業
2016年度から、新たに「将来構想委員会」を設けた。これは、前述の「ロードマップ委員会」を拡張し、ロードマップの鮮度を維持するのみならず、部門の学術分野と運営についての中長期構想の策定を目指すことで、ダイナミックな産業界の変化に対応して部門の方向性を常に敏感に保つためのものである。また、2016年度は部門設立25周年であり、新たに「25周年記念事業実行委員会」を設置し、上記「将来構想委員会」と連携して、部門特別企画である「25周年記念事業」を部門講演会と並列して実施する。

5.総括

当部門のポリシーとして,当面下記の課題について,その強化,推進を図っていく.

  1. 部門横断活動の強化
  2. 新規領域への展開
  3. 若手会員の部門活動への参画促進と育成

これらの課題については、前述の「将来構想委員会」の中長期構想策定活動および「25周年記念事業実行委員会」の「25周年記念事業」実施活動の中で、2016年度中に具体的な取り組みに落とし込むこととする。

 

Last Modified at 2016/6/23