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IIP部門学生サマースクール2012 実施報告


工学院大学 鈴木健司

 IIP部門では,2007年度より当部門で活躍する研究室の学生を対象として,1泊2日の合宿形式による学生サマースクールを実施しています.通常の講演会などでは討論の時間が少なく,学生どうしの交流の輪が十分に形成されていないのが実情ですが,本サマースクールでは,学生中心の発表・討論の時間を十分とることによって,学生の主体的交流の形成を促しています.また,IIP部門に関連する技術動向の講義や企業のエンジニアによる講演を通して,大学で得た知識を社会でどのように活用していくかを考えられるように企画を行っています.

  6回目となる今年度は,9月4日から5日の2日間,山梨県富士河口湖の「レイクランドホテルみづのさと」において実施しました.参加者は,東京近郊の5研究室から学生・教員合わせて53名でした.

  今年度のサマースクールは以下のようなスケジュールで行われました.

【 9月4日(1日め)】

9:00 新宿駅西口 または 9:30 川越駅西口に集合,バスでホテルに移動
13:00 − 15:00 アイスブレーキングゲーム
「友達50人できるかな」「共通点グランドスラム!」
15:30 − 16:40 グループ討論のテーマ発表
ブレインストーミング実習と成果発表
17:00 − 18:00 高橋宏先生講演会 「企業の中で活躍するエンジニアの口癖集」
19:00 − 21:00 グループ討論

 

【 9月 5日(2日め)】

9:00 − 12:00 前日指定したテーマに対するグループ別発表会
12:15 現地出発,15:30頃新宿駅西口または川越駅西口に到着,解散

 過去5回のサマースクールでは, 初対面の学生どうしがスムーズに打ち解けられるように,最初にスポーツ大会(ソフトバレーボール)を行ってきましたが,今年度は初の試みとして,企業の研修などで行われる「アイスブレーキングゲーム」と,「ブレインストーミング実習」を実施しました.アイスブレーキングでは,各自が50人に話しかけ,用意された50個の質問を1つずつしていく「友達50人できるかな」,グループ内でなるべく多くの共通点を見つける「共通点グランドスラム!」を行いました.初めての企画であったため,盛り上がるかどうか心配していましたが,幹事の学生の事前準備と,参加者の積極的な取り組みのおかげで,楽しみながらコミュニケーションを図り,打ち解けあうことができました.

  次に,今年度のグループ討論の“お題”として「具体的な商品を一つ選んで省エネ化しなさい」が発表され,お題に対してアイディア出し合う「ブレインストーミング実習」が行われました.付箋の用紙に各自のアイディアを書き,模造紙に貼り付け,意見を出し合いながら連鎖反応的にアイディアを発展させていきます.ある程度アイディアが出たところで,模造紙上で関連するアイディアをまとめていくつかの「島」(カテゴリー)をつくり,優先順位をつけていきます.学生達は,最初は戸惑いがあったものの,徐々に軌道にのり,白熱した議論が展開されました.最後に,各班で出されたアイディアの「島」についての発表を行いました.この段階では,あまり現実的ではないものや,考えがまとまっていないものも含まれていますが,とにかく沢山のアイディアを出し,チームワークを高めるという成果は十分に得られたと思います.この作業の続きは夕食後のグループ討論に持ち越されることになりました.

  初日の17時からは,「企業の中で活躍するエンジニアの口癖集」と題して湘南工科大学の高橋宏先生の講演会が行われました.講演内容は,「人間の性格には,プロモーター,アナライザー,コントローラー,サポーターの4つのタイプがあり,日頃の口癖にもその性格が現れる.仕事を進める上では,相手のタイプをよく理解し,タイプに応じたコミュニケーションを図ることや,タイプの相性を考慮したチーム作りが大切である」というものでした.大学教員にとっては,学生と接していく上でも大いに参考になる考え方であり,大変興味深く,示唆に富んだ内容でした.学生にとっても大変有意義だったことと思います.質疑応答では,学生からの質問も多く出されました.

  夕食後はグル―プごとに各部屋に分かれて,お題に対するアイディアのまとめと,発表の準備を行いました.今年度はブレインストーミングで班の中での話し合いが進んでいたこともあり,比較的スムーズにまとめることができたと思います.発表の準備が終了した後は,各自温泉を満喫したり,他の部屋を訪れたりして親睦を深めていました.

  2日めの午前中には,前日のグループ討論の成果発表が行われました.ブレインストーミングの成果をもとに,実現可能性という観点からアイディアを絞り,独自の工夫や考察を加えて省エネ商品の提案が行われました.質疑応答では教員からの意見やアドバイスのほか,学生からの質問も積極的に出され,有意義な議論を行うことができました.工学部の学生にとって,今回の課題のように,新しいアイディアに対して具体的な数値や工学的な知識を使って考え,現実の商品をデザインしていくという訓練が非常に重要であると感じました.

  最後になりましたが,ご参加いただいた先生方,特に1日目の新企画の立案と進行,そして貴重なご講演をいただきました高橋宏先生には,この場を借りて御礼申し上げます.また,工学院大学の学生には,幹事校として事前の部屋割りや企画の準備,当日の司会進行等を担当してもらいました.慣れない仕事で苦労も多かったと思いますが,良い勉強になったことと思います.多くの人々に支えられて,今年度のサマースクールも無事終了することができました.参加者の皆様に心より感謝申し上げます.次年度以降も,本企画をより良い方向に発展させていきたいと考えております.

図1:アイスブレーキング 図2:ブレインストーミング
   
図3:グループ別発表会 図4:全体写真
Last Modified at 2012/12/19