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2015年度部門表彰者の声:ベストプレゼンテーション表彰

三重大学
成田卓己

 この度,日本機械学会2015年度年次大会において発表いたしました「マルチバイスタティック地中レーダに基づく埋設物の形状推定法」に対して情報・知能・精密機器部門 ベストプレゼンテーション表彰を頂き,大変光栄に思っております.今回の研究発表に対して評価していただけたのは,的確なご指導頂きました三重大学 野村由司彦教授,ならびにアイエスエンジニアリング株式会社 須藤佳一博士,日ごろより支援を頂きました研究室諸氏のおかげであると思っております.この場を借りて心より御礼申し上げます.

 受賞しました研究は,地中レーダの探査画像から埋設物の断面形状復元を行う手法です.地中レーダは電磁波を利用し,非破壊・非掘削で地下の埋設物を探査する手法です.本研究では,地中レーダの送信アンテナと受信アンテナの離隔を複数種類用意し,各離隔の条件の下で測定を行うマルチバイスタティック地中レーダを用いています.これらの測定で取得したアンテナと物体上の反射点間の伝搬経路長のデータを,異なる離隔同士で成立する「異離隔間整合条件」に基づいて処理し,反射点の座標を導きます.また本手法では,アンテナを走査して測定を行う合成開口法を用いており,各アンテナ位置において反射点を求め,求めた反射点を重ね合わせることにより埋設物の形状を推定するものです.発表では,提案した手法を定式化し,実験により有効性を評価した結果を報告しました.このように,研究対象は,電波の伝搬,信号処理など,機械工学とは異なっており,当初は戸惑うことの連続でした.その中で最後まで精一杯取り組んできたことがこのような形で実ることになり,貴重な経験をさせていただきました.

 2016年現在,スズキ株式会社に所属しておりますがこの度の受賞を励みとして今後の業務に取り組む所存です.最後になりましたが,日本機械学会 情報・知能・精密機器部門の益々のご発展を祈念し,御礼の挨拶とさせていただきます.

Last Modified at 2017/3/9