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2017年度部門表彰者の声:フェロー賞

東京農工大学大学院
木村 柊

 この度は日本機械学会2017年度年次大会にて発表しました,「格子定数変化が摩擦力に及ぼす影響に関する研究」に対して,日本機械学会若手優秀講演フェロー賞をいただき,大変光栄に思います.指導教員の安藤泰久教授そして伊藤博信助教授の日々のご指導のおかげであると深く感じております.この場をお借りして心より感謝を申し上げます.

 今回発表いたしました研究は,摩擦に関する基礎研究です.摩擦に寄与する要因のひとつとして格子定数に着目をしました.

 本研究ではSOIウェハ上に半導体製造プロセスを用いて応力集中マイクロデバイスを作製し,実験に供しました.応力集中マイクロデバイスは,応力集中を利用して微小ひずみをさせることによって格子定数を変化させます.デバイス上の応力集中部分をAFMでSi製カンチレバーを用いて摩擦力分布測定を行いました.これによって同一材料を用いて応力分布すなわち格子定数変化の分布と摩擦力分布を比較することができます.実験結果として一部分で摩擦力の変化が観察されましたが,Si表面の自然酸化膜の摩耗による影響や凝縮水の影響が非常に大きく,格子定数変化の影響はあまり見られませんでした.今後は酸化膜の除去やコーティングによって表面状態の安定化を図っていく予定です.

 今後もこの受賞を励みにより一層研究に精進していきたいと思います.ご指導とご鞭撻を賜りますよう,よろしくお願いいたします.


図 AFMに取り付けた応力集中マイクロデバイスの全体写真(左)と
応力集中マイクロデバイスの顕微鏡像(右)

Last Modified at 2018/7/12