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2017年度部門表彰者の声:フェロー賞

東北大学
渡邉 慎也

 この度は、IIP2017情報・知能・精密機器部門講演会において発表いたしました「柔軟物に対する硬軟感評価時の指先接触状態の計測に関する研究」に対し、日本機械学会フェロー賞を頂き、大変光栄に存じます。指導教員である田中真美教授と奥山武志准教授をはじめ、学会等においてご助言いただきました皆様に深く感謝申し上げます。

 今回の受賞対象となった研究は、硬軟感知覚メカニズムの解明に向けて構築した、硬軟感評価時の指先接触状態の計測システムの有効性を報告したものです。硬軟感は硬さに関する感覚量であり、物体を把持する際の力の調整や触診において極めて重要な感覚です。しかしながら、感覚量は主観的に評価されるものであるため他者との伝達などが困難であり、客観的に硬軟感を評価する触覚センサシステムの開発が求められています。そのためには、硬軟感の触知覚メカニズムの解明が重要です。

 本研究では硬軟感の触知覚メカニズムの解明にむけて、指と対象物の接触状態に着目し、眼底検査などで用いられる光干渉断層計を用いて、指と対象物の接触面積計測システムの精度向上および、接触面形状を計測する手法の構築を実現しました。また、構築した手法を用いて指と対象物との接触面積の算出および、接触面積形状の計測を行い、異なるヤング率の触サンプルに対して人差し指を押し込んだ際の接触面積及び接触面形状の変化を確認しました。本研究は、接触面積や接触面形状の変化と硬軟感の厳密な関係性の解明や、接触面形状と触覚受容器、硬軟感知覚との関係性の解明に貢献できる成果であると考えております。

 今後は、この度の受賞を励みに一層研究に精進し、社会貢献できるよう努力する所存です。今後ともご指導とご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

Last Modified at 2018/7/12