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2021年度部門表彰者の声:ベストプレゼンテーション表彰

株式会社日立製作所
渡部 道治

 この度は、日本機械学会2021年度年次大会において発表した「マルチタスク学習を用いたクレーンのロープ緊張状態と吊荷荷重の同時推定技術の開発」について、情報・知能・精密機器部門ベストプレゼンテーション表彰を賜り、誠にありがとうございます。研究の推進に際し、ご支援を頂きました関係者の皆様に心より御礼申し上げます。

 受賞した発表は、作業者の熟練度によらず高い安全性と生産性を提供する天井クレーン(図1)を開発することを目的として、機械学習の一種であるマルチタスクニューラルネットワーク(図2)を用いて、吊荷を吊り下げているロープの緊張状態と吊荷の荷重を同時に推定する技術を開発したものです。学習に用いる教師データの作成において、巻上げ機で吊荷を巻上げた動画を撮影し、画像分析を通じて吊荷の状態を分類する手法を用いました。 このため、巻上げ機に搭載されているインダクションモータの駆動信号(駆動周波数、回転速度、印加電流)とロープの緊張状態・荷重との相関を人が教えずとも、ネットワーク自身が学習します。

 この技術により、天井クレーンに荷重センサなどを加えることなく、インダクションモータの駆動信号からロープの緊張状態や荷重が推定できるようになるため、コストをかけずに高精度の推定が実現できるようになることが期待できます。また、マルチタスクニューラルネットワークは共通する情報を用いて類似するタスクを実行するものであるため、同時に推定する状態量を増やしていくなどの更なる発展が期待できます。

 最後になりますが、今回の受賞を励みとして、社会価値を向上させる技術を開発していけるよう研鑽を積むことを誓うとともに、日本機械学会 情報・知能・精密機器部門の益々の発展を祈念して、受賞の挨拶といたします。


図1 天井クレーンの概略図


図2 マルチタスクニューラルネットワークの構成

Last Modified at 2022/6/8