部門概要

「スポーツ工学・ヒューマンダイナミクス部門」部門長あいさつ

2026年度【第104期】部門長
小池 関也

当部門の第104期の部門長を務めます,筑波大学体育系の小池と申します.

私の現在のモットーは,「0から1を創り出す」という言葉に集約されます.既成の枠組みや前例に安住することなく,独創的な着想によって新たな価値を具現化することを常に念頭に置いております.この姿勢は研究活動のみならず,日常における問題解決やアイディア創出の局面においても,欠かすことのできない指針として堅持しているものです.

近年の座右の銘としているのが,金出武雄先生の「素人発想,玄人実行」であります.スポーツ動作のように,一見身近で直感的な理解が可能と思われる対象であっても,着想の段階においてはあえて固定観念を排し,素人の如き自由闊達な視点で課題と対峙することを旨としております.一方で,その後の分析や検証のプロセスにおいては,専門的知見と客観的手法に基づき,徹底して玄人的な視座から精緻に取り組むことを信条としております.この柔軟な発想と厳格な実行の調和こそが,真に本質的な理解と画期的な発見をもたらすものと確信しております.当部門が取り扱う研究領域は,健康増進や活力向上といった人間の根源的価値の向上に留まりません.飛翔体の挙動を支配する流体力学の応用から,気候変動に伴う灼熱環境が人体に及ぼす影響の低減といった熱力学的見識まで,マクロな現象への理解が不可欠となっております.さらに,スポーツのフォーム改善やコーチング,トレーニングといった実践的領域に対しては,生体力学(バイオメカニクス)を基盤としつつも,機械力学や制御理論といった工学的アプローチを高度に融合させることにより,新たな知見の創出を目指しております.こうした分野横断的な視点は,複雑化する現代社会の諸課題に対峙する上で,もはや不可避の要請であると認識しております.身体動作やスポーツ動作を扱う分野において,動きの分析・評価法,さらには用具の構造設計や素材選定に至るまで,機械工学が寄与すべき技術は正に枚挙にいとまがありません.

スポーツ動作における力学原理につきましては,例えばバットスイング一つを取っても,そこには時代に応じた変遷が存在します.こうした変遷の背景にある機微を鋭敏に捉え,実学としての製品開発へと昇華させるプロセスを,我々は重んじていかねばなりません.このような思索を深化させる場として,各種講習会や「機械の日」の体験会等の開催を通じ,皆様が参画できる機会を積極的に提供してまいる所存です.会員の皆様におかれましては,研究発表の場である部門講演会や学会年次大会への一層積極的なご参加,ならびに研究成果のご発表をお願い申し上げます.当部門は,これまでの活動実績を考慮いただき,この第104期より「中・大規模部門」として新たな歩みを進めることとなりました.中・大規模部門としての船出の年となる本年も,当部門のさらなる活性化および発展には,皆様のこれまで以上のご協力が不可欠であります.産学官の多様な知見が融合し,活発な議論が交わされることにより,本部門が次世代の技術革新を牽引する強固なプラットフォームとして機能することを切に願っております.私自身も,その重責を担う一助と なるべく,全力を尽くす所存であります.