部門概要

「スポーツ工学・ヒューマンダイナミクス部門」部門長あいさつ

2022年度【第100期】部門長
中島 求

 2022年度【第100期】のスポーツ工学・ヒューマンダイナミクス部門長を拝命いたしました,東京工業大学の中島 求です.今年度より新部門長として,2年間の任期を務めさせていただきます.100期という大きな節目での部門長という大役に,身が引き締まる思いがしております.これまでの部門長と変わらぬ,ご支援,ご指導方,どうぞよろしくお願い申し上げます.

世間では新型コロナウイルスが引き続き猛威をふるっておりますが,そろそろ終わりも見えて来つつあるようにも思えます.当初は,たった一つの感染症がここまで世界を変えてしまうのかと圧倒されましたが,逆境にもめげない人間の知恵,しぶとさが徐々にウイルスを劣勢に追い込んでいるような気がいたします.日本でも,東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が,1年延期,かつ無観客ではありながらも,コロナ禍の中で大きなクラスターも発生せず開催されました.開催の是非については社会的には議論が続いている面もありますが,少なくとも当部門にとっては開催は大変良かったことと思います.なお東京2020大会に対する当部門の貢献については部門ニュースレターにて詳説します.

当部門の運営にあたり,一つの目標を掲げたいと思っています.それは「サステイナブル」ということです.当部門は駆け出し部門であり,コアメンバーの絶対数もまだまだ少ない状況です.そのため,コアメンバーの個人的な努力,エフォートに頼ってしまっている部分がまだまだ大きいような気がしています.今後当部門が益々の発展を遂げていくためには,個人に頼るのではなく,組織として,システムとして安定的に回していけるようにする必要があると思います.そのため,私の2年間の任期の中で,サステイナブルな部門運営を可能にするためのシステム構築に特に注力したいと思っています.

システム構築にあたって,まず重要と考えるのは部門財政です.サステイナブルな,すなわち安定的な部門財政を実現したいと思います.その理由としては,近年の日本機械学会本体の財政状況があまり芳しくないため,各部門には利益を上げる運営が求められているからです.もちろん,学会組織は営利企業ではありませんので,必要以上の多大な利益を上げる必要はないかと思いますが,現在の学会の財政状況では,学会本体のサステイナビリティが危うくなっており,駆け出しの当部門が足を引っ張るわけにはいきません.少なくとも財政的には優等生な部門であることが重要と考えます.

安定的な部門財政実現のための方策としては二つ考えています.一つは,部門講演会,すなわちシンポジウム:スポーツ工学・ヒューマンダイナミクスの開催方式です.当シンポジウムは三日間(正確には二日半)の会期で3室,もしくは4室のパラレルで開催することが伝統となっており,この基本スタイルは堅持したいと思います.ただ,三日間開催できる会場を確保しようとすると,会場費が比較的安く済む大学では難しくなります.講義の関係から,土日しか空いていない大学がほとんどだからです.これまでは民間の会議場を利用しての開催の場合もありましたが,利用料が高くつき,大幅な収益を上げることは困難です.この問題に対するある解決策を,2022年度の札幌開催で試行的に実施しようとしています.それは,土日は現地開催しますが,もう一日はオンラインで開催するという方式です.不幸中の幸いと言いますか,2020年度,2021年度のコロナ禍の中でのオンライン開催により,シンポジウムをオンライン開催するノウハウが蓄積されてきました.2020年度のシンポジウムの反省を踏まえて開催された2021年度のシンポジウムでは,実行委員長を務めた身としては手前味噌でありますが,多くの参加者の方からご好評をいただきました.このノウハウを活かし,1日オンライン,2日現地という開催スタイルを,今後のシンポジウムの標準スタイルにしていけば,満足度も収益性も高いシンポジウムを恒常的に開催していくことが可能になるのではと考えております.

もう一つの部門財政のための方策としては,講演会の開催が挙げられます.当部門は人間のスポーツ動作・日常動作が主要な研究対象となっており,各種の人体動作計測手法に造詣の深い先生方が多くいらっしゃいます.そのご造詣を活かし,当部門でしか出来ないような各種の講演会を開催して収益を上げることが出来るのではと考えています.

お金の話が多くなりました.そのようなことに興味ない,と思われる方もいらっしゃるかと思いますが,部門長を仰せつかった私自身の思いとしては,この素晴らしいコミュニティをなんとか発展させたいという一心です.どっぷりと部門の中にいると逆に気づきづらいかもしれませんが,SHDコミュニティは,外から入ってくる人間に対してオープンで温かいという声をいただいたことがあります.この良い文化を守っていくために,微力ではありますが,力を尽くしていきたいと思います.皆様のご支援,ご協力を重ねてお願いいたしたく,よろしくお願い申し上げます.