1. 一   般

1・1 工業研究

1・1・1 研究費,研究者数の動き

図1に研究費総額と対国内総生産比率を示す.平成27年度の研究費総額は18兆9 391億(前年度比0.2%減)で,国内総生産に対する比率は3.56%で3年ぶりの低下である.

図1 研究費総額とその対国内総生産比率[1]
図1 研究費総額とその対国内総生産比率[1]

図2は研究主体別研究費の額と研究費総額に対する割合の年度による変化を示している.平成27年度の研究費総額の72.3%を占める企業等の研究費は前年度比0.7%の増加,研究費総額の8.5%を占める非営利団体・公的機関の研究費は前年度比4.7%の減少,19.2%を占める大学等の研究費は1.4%減となっている.

図2 研究主体別の研究費と研究費総額に対する割合[1]
図2 研究主体別の研究費と研究費総額に対する割合[1]

図3は,自然科学に使用した研究費を基礎研究費,応用研究費,開発研究費に分類した性格別の研究費の額と自然科学に使用した研究費全体に占める割合の年度ごとの変遷を示している.企業等で行われる研究が多いことから,開発研究費が最も多く,平成27年度は11兆1 792億円と自然科学に使用した研究費全体の63.8%を占め,基礎研究費は2兆5 455億円で14.5%,応用研究費は3兆7 923億円で21.6%を占めている.

図3 性格別研究費とその割合[1]
図3 性格別研究費とその割合[1]

平成27年度の研究費のうち,第4期科学技術基本計画(平成23年8月19日閣議決定)に掲げられている政府が最優先で取り組むべき課題3分野に使用した研究費と研究費全体に占める割合をみると,ライフイノベーションの推進が9 350億円(研究費全体に占める割合4.9%),グリーンイノベーションの推進が5 851億円(同3.1%),震災からの復興,再生の実現が823億円(同0.4%)となっており,ライフイノベーションの推進の研究費全体に占める割合が高くなっている.

図4は,第3期科学技術基本計画(平成18年3月28日閣議決定)に定められていた重点推進4分野等の特定目的別の研究費の額を示している.ライフサイエンス分野が3兆286億円で研究費全体に占める割合が16.0%,情報通信分野が2兆940億円で11.1%,環境分野が1兆1 963億円で6.3%,エネルギー分野が1兆631億円で5.6%,海洋開発分野が1 220億円などとなっている.重点推進4分野では,ナノテクノロジー・材料分野が前年度比4.2%減,環境分野が2.1%減,ライフサイエンス分野が4.3%減,情報通信分野が7.4%減となっている.なお,宇宙開発は前年度比10.6%増,海洋開発は3.7%増である.

図4 特定目的別研究費[1]
図4 特定目的別研究費[1]

企業における平成27年度の研究費を産業大分類別にみると,「製造業」が11兆8 641億円と研究費全体に占める割合が86.7%と最も多く,次いで「学術研究,専門・技術サービス業」が8 824億円,同6.4%,「情報通信業」が6 453億円,同4.7%となっている.

表1は,平成26年度の企業における研究費のうち自然科学に使用した研究費を産業大分類別に,研究費総額,基礎研究費,応用研究費,開発研究費に分けて示している.自然科学に使用した研究費は,全産業で前年度比0.6%増,製造業で0.9%増である.製造業の中では「輸送用機械器具製造業」が最も多い2兆9 475億円,前年度比3.7%増であり,平成27年度に自然科学に使用した研究費総額の21.6%を占めており,その84.5%が開発研究に使われている.

表1 産業大分類別の自然科学に使用した企業の研究費総額及び比率[1]
表1 産業大分類別の自然科学に使用した企業の研究費総額及び比率[1]

図5は,男性研究者と女性研究者の数を示している.平成11年度に7.6万人であった女性研究者の数は,年々増加し,平成28年度には13.8万人になり,まだ割合は少ないものの全研究者の15.3%となっている.

図5 男性研究者と女性研究者の数[1]
図5 男性研究者と女性研究者の数[1]

図6は職種別研究関係従業者数の推移を示す.研究者が84万7 100人(全体に占める割合79.9%),研究事務その他の関係者が8万9 600人(同8.4%),研究補助者が6万6 800人(同6.3%),技能者が5万6 600人(同5.3%)となっており,前年比で,技能者が2.3%増,研究事務その他の関係者が1.5%増となっているのに対し,研究補助者が2.9%減,研究者が2.3%減となっている.

図6 職種別研究関係従業者数[1]
図6 職種別研究関係従業者数[1]

1・1・2 国際技術交流(技術貿易)の動き

図7は諸外国との特許,ノウハウなどの技術の提供及び受入れである技術輸出の受取額と技術輸入の支払額を示している.平成27年度の技術輸出の受取額は3兆9 498億円で前年度に比べ7.9%増である.技術輸入の支払額は6 026億円であり,前年度に比べて17.5%増となり,2年ぶりに増加した.

図7 技術輸出受取額と技術輸入額[1]
図7 技術輸出受取額と技術輸入額[1]

図8は相手国別の技術輸出の受取額,図9は相手国別の技術輸入の支払額を示している.いずれもアメリカ合衆国相手が最も多く,技術輸出の受取額は1兆5 979億円で前年度比19.9%増であり,受取額全体に占める割合は40.5%,支払額は4 249億円で13.0%増であり,支払額全体に占める割合は70.5%となっている.また,技術輸出の受取額は,子会社などの進出が多い中国とタイが2位と3位を占め,中国が4 765億円で前年度比5.6%増,タイが3 273億円で2.1%増となっている.技術輸入の支払額は,アメリカ合衆国の他にはドイツ,スイス,イギリス,フランスなどヨーロッパ諸国が多い.

図8 国別の技術輸出の受取額[1, 2, 3, 4, 5]
図8 国別の技術輸出の受取額[1, 2, 3, 4, 5]
図9 国別の技術輸入の支払額[1, 2, 3, 4, 5]
図9 国別の技術輸入の支払額[1, 2, 3, 4, 5]

〔手塚 明 産業技術総合研究所

1・1の文献

[ 1 ]
平成28年科学技術研究調査・結果の概要,平成28年12月,総務省.
[ 2 ]
平成27年科学技術研究調査・結果の概要,平成27年12月,総務省.
[ 3 ]
平成26年科学技術研究調査・結果の概要,平成26年12月,総務省.
[ 4 ]
平成25年科学技術研究調査・結果の概要,平成25年12月,総務省.
[ 5 ]
平成24年科学技術研究調査・結果の概要,平成24年12月,総務省.

 

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