第28期[2021年度]関東支部・支部長挨拶

関東支部の今期の方針

第28期関東支部・支部長 (株)荏原製作所 能見基彦


写真:能見基彦 支部長  このたび第28期の関東支部長を仰せつかりました。昨年、新型コロナウィルス禍という未曽有の事態が発生した中でも、支部の様々な活動を着実に推進された吉村前支部長におかれましては、改めて深く御礼申し上げます。
 さて、4月現在の段階で、新型コロナウィルス禍は、未だ衰えず、いわゆる「新しい生活様式」の継続を余儀なくされています。一方、社会の動向は、気候変動の対策は待った無しの状況となり、世界全体で脱炭素化の動きが加速されています。そのような点から、わが日本機械学会の責務はますます重大になるはずですが、一方で、残念ながら財政の逼迫が伝えられ、財政の健全化が急務となってきています。
 このような激動の時期に、日本機械学会関東支部は、何をなすべきでしょうか?新型コロナウィルス禍は、さまざまな社会の変容をもたらしましたが、高速な通信技術に基づく、在宅勤務、在宅教育、リモート会議の進展には驚かされました。この技術の利用によって、時間や距離や、あるいは国境によって生じる様々な障壁を軽々と超越する利便性からは、我々は、もはや後戻りはできないと言っても良いでしょう。日本機械学会も、この技術を最大限に活用し、さまざまな活動を着実に進めることが求められています。本支部においても、昨年度から各種のリモート催事や会議に活用されておりますが、本年度は、この技術の利点をさらに活かし、今までになかったブロック間、部門と支部、支部同士の新たな活動を模索して参りたいと思います。
 さて、日本機械学会の財政状態に目を向けた場合、皮肉にも、今の状況は高速な通信技術がもたらしたのではないかという疑問を禁じえません。インターネットや検索技術が進展する以前は、新しく、なおかつ質の高い技術情報は学会活動からしか入手することはできませんでした。このような観点から、私は、1960年代の日本の高度経済成長に日本機械学会が成した功績は多大であったと確信しております。しかしながらインターネットが発展し、玉石混交ではありますが、欲しい情報が瞬時に入手できる現代、残念ながら社会から見た学会の必要度は相対的に下がったのではないかという懸念があります。そのような中で日本機械学会が社会にどのような価値を新たに提供できるのか?我々全員が再考すべき時期に来ているのかもしれません。この難問に対し、すぐに正解を出すのは困難ですが、一つの答えは、機械工学を核としたリアルな人的ネットワークへのアクセスの機会でしょう。この点から、何か支部全体が盛り上がる活動を考え、そこに会員諸氏のみならず、社会がアクセスして、その成果を共有できるような仕組みも考えたいと思います。ややこじつけ的ではありますが、グローバリゼーションが曲がり角に来た今だからこそ、足元の関東から、日本機械学会の活性化を始めましょう。
 本年度、上述の人的ネットワークは、インターネットに頼らざるを得ない状況です。しかしながら、人々が実際に会い、議論し、歓談し、親睦を深めることの大事さは、言うまでもありません。早期に新型コロナウィルス禍が沈静化し、皆さまに再び、お目にかかれる日が来ることを楽しみにして、以上、支部長就任のご挨拶に替えさせていただきます。

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