3.計算力学
3.1 計算固体力学
この節では,計算固体力学に関連するトピックスを選んで,最新動向やその背景について概要を述べる.それぞれのパラグラフは,2024年9月18日~20日に北九州・小倉にて開催された国際ワークショップThe 4th International Workshops on Advances in Computational Mechanics(IWACOM-IV)における,オーガナイズドワークショップ「OW4: Frontiers of nonlinear, impact and instability analysis of solids and structures」での講演課題と主に関連しており,それぞれの専門分野に詳しい著者によって記述されている.
異方性超弾性体の材料モデル開発は,血管や筋膜などを代表とするバイオメカニクス的関心(1),(2)だけでなく,異方性ソフトマテリアルの開発の発展(3)に伴って益々需要を増している.モデル化の容易性により,等方部分と異方部分に分離できることを前提とした分離モデルがよく用いられており,繊維方向へのストレッチを説明する疑似不変量としてI4項が用いられる(1),(2),(4).ただし,異方性を説明するための不変量にはI4項だけでなくI5項も必要であることが知られている(5)~(7).主軸での負荷を考えるときにはI4=I51/2の関係が成立するため,この2項の役割を区別することはできない.しかし,せん断応答を考慮するときにはそれぞれの項の果たす役割の区別が重要となる.ほかにも材料モデルの正定値性や楕円性を満足するための不等式が導出(5),(6),(8)されており,繊維方向の圧縮による不安定を避けるために引張・圧縮スイッチングと呼ばれる操作が行われる(8),(9).有限要素解析ソフトには異方性超弾性体のためのユーザーサブルーチンが提供されるようになり,実装や安定化のための研究が進められている(10).今後はノンレシプロカル性(3)を有するような,より複雑な異方性超弾性体の材料モデル開発やリンクルやクリースのような表面不安定変形解析(11)~(13)への適用などは最先端研究とみなされる.
航空宇宙分野のみならず,次世代エレクトロニクス分野での重要素材として位置付けられているファインセラミックスにおいても,その信頼性評価に対して計算固体力学が活用されている.セラミックスは脆性的に破壊するため,焼結や加工中に生じる気孔や表面傷などの欠陥分布特性に依存して強度のばらつきを示す(14),(15).そのため,信頼性評価に関わる強度のばらつきや寸法効果を予測するための数値解析技術が注目されている(16),(17).これらの数値解析技術においては,組織観察で得られた欠陥分布情報を各種確率密度関数で表現し,局所的な破壊力学モデルを介して構成式などのパラメータへと反映している.また,乱数を用いることで複数(例えば,数十個~数万個)の解析対象モデルにおける欠陥の確率的な空間分布を再現し,破壊強度のばらつきやワイブル分布を直接予測できるようになっている.なお,金属材料の疲労破壊統計で使用されてきた極値統計モデル(18),(19)は最弱リンク説と親和性が高く,セラミックスの強度解析でも利用可能である(17).
計算固体力学はポーラス金属の力学特性を明らかにする上でも活用されている.ポーラス金属とは内部に多数の気孔を有する金属材料で,優れたエネルギー吸収特性を有するため,輸送機器等の衝撃吸収部材として適用が検討されている(20).ポーラス金属の内部構造は一般に微細かつ複雑であり,構造から部材全体の力学特性を正確に予測することは容易でない.そこで,個々のセルレベルの構造を数値計算上で再現する直接法(21),(22)に加えて,力学特性を再現するに足る特徴量を抽出し,間接的に再現する間接法(23)が存在する.近年では,マルチスケールのセルを組み合わせたhierarchical porousに代表されるように,より優れた力学特性を求めてセル構造の複雑化が進んでいる(24).また,ポーラス金属のエネルギー吸収効率を最大限に引き出すためには,阻害要因の1つである変形帯の発生を抑制する必要があり,数理最適化の導入により経路探索アルゴリズムで発生を予測する手法が提案されている(25).
ハニカムやラティス,ジャイロイドといった周期セル構造体は,通常はりや板で構成されている.そのため,剛性や強度といった機械的特性を把握するためには,はりや板の理論を適用すればよい(26).例えばはりの場合,直線はりと曲線ばりの2種類がある.また,そのはりの太さと長さ,あるいは太さと曲率半径の比によって,細長いはりとしての力学(27)(主に曲げ変形のみに注目した力学)か,太く短いはりとしての力学(28)(せん断変形や軸方向の伸縮を考慮した力学)かを使い分ける必要がある.また,最近ではソフトロボティクスの分野で馬蹄構造(horseshoe structure)が注目されている(29).馬蹄構造は人間の皮膚に近い柔らかさと強度を兼ね備えた周期セル構造で,構造を構成する曲がりはりが曲げ変形から伸縮変形に以降しながらJ字型の荷重―変位線図を示す特徴を有する.これまでの曲がりはりの問題は長さが一定とみなした理論が主であり,その力学的挙動を把握するために楕円積分を解析的に解けば良い(27)が,馬蹄構造のようにはりの長さの変化を許容する場合はモーメントが変化するため,繰り返し計算を用いて近似的に求める必要がある(30).
Cold Sprayは,固体粒子が高速で基材に衝突し,衝撃誘起金属結合(Impact Induced Metallic Bonding,IIMB)によって強固に接合し,皮膜や積層体を形成するプロセスである.この現象は,極めて短時間のうちに大きな塑性変形が発生し,それにより露出した金属面同士が強固に結合することで生じる.IIMBの詳細な理解には,実験と計算シミュレーションの両面からのアプローチが不可欠である(31).特に,様々な有限要素法(Finite Element Method,FEM)がIIMBの研究に広く活用されており,粒子と基材の衝突時に発生する局所塑性変形,衝撃波,材料流動,界面接合の発達などの重要なプロセスが解析されている(32).例えばラグランジュ(Lagrangian)法 は界面の詳細な応力・ひずみ状態の解析に適しており,一方でオイラー (Eulerian) 法や,両者の特徴を併せ持つ任意ラグランジュ・オイラー(Arbitrary Lagrangian-Eulerian,ALE) 法は,大変形を伴う高速衝撃現象の解析に有効である(33),(34).さらに,粒子法流体力学(Smoothed Particle Hydrodynamics,SPH)法はメッシュフリーの利点を活かし,粒子の破壊や界面でのせん断流動を再現するのに適用されている(35).これらの解析結果から,付着の可否を決める臨界速度の存在,界面近傍でのせん断帯の形成,酸化膜の破壊,および金属間の局所拡散が接合強度に影響を及ぼすことが明らかになっている(36),また,結合力モデル(Cohesive. Zone Model,CZM)やペリダイナミクス(Peridynamics,PD)などの破壊力学的なアプローチから界面における接合・剥離過程を統一的に記述する試みも進められている(37),(38).今後は,マルチスケール解析によるIIMBの統合モデルの構築や,プロセスパラメータの最適などが期待される.
ペリダイナミクスは,Sillingにより提案された連続体の力学理論であり(39),物質点間の相互作用を有限の影響距離を通じて非局所的に扱う.この理論は,相互作用の消失をその定式内に内包することから破壊の表現に優れている.近年の研究は,従来の固体材料の破壊解析への応用を超えて,マルチフィジックス・マルチスケール現象を含むさらなる連続体力学への拡張へと進んでいる(40),(41).例えば,アディティブエンジニアリングの興隆を受け,微細な周期的欠陥構造を材料内部に有する材料での破壊をシミュレートするために,ペリダイナミクス均質化法が開発されている(42).また,流体により誘起される破壊現象を対象として,流体と固体およびその相互作用をペリダイナミクスの枠内でモデル化する流体構造連成解析手法が提案されている(43).幾つかの定式の中で,構成則を陽に含むNon-Ordinary State-Based(NOSB)定式ペリダイナミクスは産業上重要である(44).静力学での適用(45)の他に安定性がその課題であったが,近年その処方箋として幾つかの安定化手法の実装が試されている(46),(47).多様な材料の破壊を模擬可能となれば,産業応用の面でペリダイナミクスのさらなる可能性が拓かれる.
目覚ましい発展を遂げる固体力学研究において,近年,液体の毛管力を駆動源とした弾性材料の変形現象(elastocapillarity,以下「弾性キャピラリティ」という.)(48)が注目されている.固体の曲げ剛性と液体の表面張力により特徴づけられるこの現象は,ソフトマテリアルやナノマテリアルにおいて顕在化する.メカニズムの解明と制御手法の確立に向け,計算固体力学を活用した研究が推進されている.例えば,ナノ水滴と接するグラフェンの変形挙動が大規模分子動力学法により明らかにされ,固気液三重線近傍の曲率変化に応じた接触角の変化が定量的に評価された(49).先述の表面不安定変形解析においても,弾性キャピラリティの影響評価が進められている.有限要素法と離散要素法を組み合わせた数値解析により,液体接触環境におけるリンクルの平坦化現象が明らかにされ,表面張力が支配因子であることが示された(50).また,これまで実験的に観察されてきた水滴に駆動されるリンクルからフォールドへのパターン変態(51),(52)については,有限要素解析により,支配因子と発生条件が明らかになりつつある(53),(54).以上の知見は,弾性キャピラリティの重要性を如実に示している.ソフトマテリアルやナノマテリアルの活用が拡大する今日,その理解と制御は重要な課題である.計算固体力学の果たす役割は大きく,更なる研究の発展が期待される.
〔奥村 大 名古屋大学,尾崎 伸吾 横浜国立大学,澤田 万尋 株式会社本田技術研究所,牛島 邦晴 東京理科大学,市川 裕士 東北大学,椎原 良典 豊田工業大学,永島 壮 名古屋大学〕
3.2 計算流体力学
2024年度は計算流体力学分野を含めてほとんどの講演会が対面での開催となった.本会主催第37回計算力学講演会(1)は,2024年10月18日(金)~20日(日)の日程で,宮城県仙台市において開催された.特別講演では大林茂氏(東北大学)の「航空機CAEの研究開発とDXへ向けて」と題した講演が行われた.ICCFD12(The 12th International Conference on Computational Fluid Dynamics)(2)が2024年7月14日(月)~7月19日(金)に兵庫県神戸市で開催され,24年ぶりの日本での開催となった.日本からは青木尊之氏(東京科学大学)の「Innovative Simulation for Multiphase Flows and Fluid-structure Interactions」,嶋英志氏(宇宙航空研究開発機構)の「Introduction, history, and applications of all speed Riemann flux schemes」のPlenary lectureが行われた.米国物理学会(APS)主催のDFD Meeting(3)は2024年11月24日(日)~26日(火)にソルトレークシティ(米国)にて開催された.本会協賛の第38回数値流体力学シンポジウム(4)が日本流体力学会主催で2024年12月11日(水)~13日(金)の日程で東京にて開催された.本シンポジウムにおいては,高村ゆかり氏(東京大学)の「カーボンニュートラルに向かう世界の最新動向ー変わる世界と工学への期待」,加藤千幸氏(東京大学/日本大学)の「Large Eddy Simulationの産業応用の現状と今後の展望」の2件の特別講演が行われた.すべての講演会で会期中に意見交換会が企画され活発な議論が行われた.一方で会場設備の制約が大きいことから,ハイブリッド(ハイフレックス)方式の講演会はほとんど行われていない.
ここで,近年の計算流体力学分野の研究動向について,数値流体力学シンポジウムの発表件数を元に分析したい.機械工学年鑑2024(5)に掲載されている2023年までの同シンポジウムの講演件数に第38回数値流体力学シンポジウムの講演件数を追加して集計した.表3-3-1は,数値流体力学シンポジウムにて企画されたオーガナイズドセッションの2019年以降の発表件数の推移を示す.その際,2024年の年鑑データ(5)に最新のデータ(4)を追加すると共に,2019年から2023年までの5年間の平均値を算出した.その5年間の平均値に対する2024年の増減率を表に示す.増加率が高いセッションとして,「大規模・高速計算,新しい計算資源の利用」,「流体データの処理と活用」,「種々の連成問題」,「非圧縮流れ解法,圧縮流れ解法」が挙げられる.また,講演数の多いセッションとしては「乱流,渦,波動」,「流体データの処理と活用」が挙げられる.特に,「流体データの処理と活用」は継続的に講演数が増えており,当該セッションで取り扱われる可視化,プリ・ポスト処理,データ同化,機械学習(人工知能),データ分析法,設計探査,最適化などのトピックが注目され,CFDで得られるデータの活用が望まれていることが推察される.また,「大規模・高速計算,新しい計算資源の利用」では大規模解析や量子コンピューティングなどのテーマが議論されており,上述の「流体データの処理と活用」のテーマと共に情報科学とCFDの融合が期待されている.
以上のように,乱流や物理モデル,計算スキームといった基盤的な研究,混相流や反応流,連成問題などの複雑な流動現象のCFD,気象,河川流動,輸送分野,エネルギー分野へのCFDの応用,大規模流動解析とデータ活用といったように広範にわたる研究トピックが議論されており,今後も計算流体力学分野のさらなる展開が期待されている.
表3-2-1 数値流体力学シンポジウムにおける講演件数の推移
| OS名 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 平均 | 2024 | 増減率 |
| 乱流,渦,波動 | 25 | 37 | 31 | 30 | 40 | 32.6 | 36 | 10.4% |
| 混相流体,相変化,反応,界面 | 19 | 24 | 16 | 19 | 19 | 19.4 | 19 | -2.1% |
| 原子・分子の流れ | 13 | 20 | 17 | 12 | 17 | 15.8 | 14 | -11.4% |
| 非圧縮流れ解法,圧縮流れ解法 | 6 | 5 | 13 | 9 | 8 | 8.2 | 12 | 46.3% |
| 連続体力学的解法 | 10 | 11 | 13 | 11 | 5 | 10.0 | 10 | 0.0% |
| 離散要素型解法 | 18 | 9 | 11 | 10 | 11 | 11.8 | 9 | -23.7% |
| 直交細分化・適合細分化格子法 | 10 | 8 | 18 | 11 | 15 | 12.4 | 15 | 21.0% |
| 複雑流体の流れ | 20 | 16 | 14 | 15 | 16 | 16.2 | 18 | 11.1% |
| 種々の連成問題 | 15 | 17 | 10 | 10 | 23 | 15.0 | 22 | 46.7% |
| 輸送用機械に関連する流れ | 22 | 17 | 17 | 20 | 15 | 18.2 | 12 | -34.1% |
| 地域環境と防災 | 22 | 19 | 18 | 7 | 6 | 14.4 | 12 | -16.7% |
| エネルギーに関連する流れ | 14 | 12 | 14 | 9 | 8 | 11.4 | 14 | 22.8% |
| 大規模・高速計算,新しい計算資源の利用 | 4 | 8 | 5 | 8 | 6.3 | 10 | 60.0% | |
| 流体データの処理と活用 | 19 | 27 | 22 | 25 | 29 | 24.4 | 36 | 47.5% |
| Flow analysis with the aid of data science | 4 | |||||||
| 一般セッション | 9 | 4 | 6 | 4 | 5 | 5.6 | 3 | -46.4% |
| 新規解法及び高性能化に向けた既存手法改良 | 6 | 13 | 12 | 8 | 8 | 9.4 | ||
| 電磁流体,プラズマ流 | 7 | 4 | 4 | 5 | 5.0 |
〔古澤 卓 東北大学〕
3.3 マルチフィジックス
マルチフィジックスという語の定義は曖昧である.これは単に,「フィジックス(physics)が複数(multi)絡む」ということを指しているが,フィジックスをどう切り分けるかは視座によって異なり得,明確な定義は難しい.広くマルチフィジックス問題として認識され,おそらく最も広く研究対象にされているものの一つが流体構造連成(fluid–structure interaction)問題であるが,これも連続体力学の立場からみると,流体(ニュートン流体など)も構造(弾性体など)も構成法則が異なる連続体であり,連続体力学的文脈において単一のフィジックスと解釈することもできる.ただしこの文脈においても,流体領域と構造領域で速度などの物理場は不連続になり得るし,コーシー応力の定義も領域間で不連続に異なる.どのような離散化手法・数値解析手法を適用するかに依存するので議論の厳密性は多少犠牲にはするが,流体と構造の境界で「領域」を区切るのは工学者の力学的直感に合う上に,流体と構造の境界における不連続性を取り扱う上で好都合な場合もある.他方,「領域」を定義して,不連続面に特殊な取り扱いをするという点では,機械設計などに際し,異なる部材を多点拘束(multi-point constraint)(1)で接続して実施する構造解析も同様の世界観といえる.また,領域分割法など,直感的なフィジックスの線引きとは関係のない,人工的な領域でも同様の数理が展開できる.一例として,マルチフィジックス解析で利用される解法を,人工的に分割した領域を有する構造解析に適用し,非線形解析の領域を限定化することで計算コストを削減する方法(2)などの研究例もある.その観点から考えると,マルチフィジックス解析は「領域間に何らかの拘束条件を持つ多領域問題の数値解析」という一般化ができる.本節では,代表的なマルチフィジックス問題である流体構造連成問題に注目し,用いられている数値解析的戦略の観点から,これに関連した動向を示す.特に,移動する流体構造境界面に対する戦略として,適合メッシュ(メッシュが境界面に一致)型アプローチと非適合メッシュ型アプローチという点に焦点を当て,これを整理し述べる.また,上記でマルチフィジックス問題を抽象化したように,下記で紹介する数理的戦略は「領域間に何らかの拘束条件を持つ多領域問題の数値解析」全般に利活用が可能であることも申し添えておきたい.その逆もまた然りであり,他の力学問題で利用されている方法がマルチフィジックス問題にも活きる場合もある.
適合メッシュ型のアプローチでは,流体と構造の間の境界面の移動に合わせて計算点やメッシュ等の離散化された解析領域を移動させることで,境界面を追跡する.基本的に,構造領域は一般的な構造解析と同様にLagrange 記述で定式化されるが,その移動に合わせて流体領域が伸縮・変形するため,一般に流体の計算点の移動速度はゼロ(Euler 記述)でもなく,流体の速度場と同一(Lagrange 記述)にもならない.これに対し,arbitrary Lagrangian-Eulerian(ALE)記述(3)を用いることで,計算点が流体の速度場と無関係な任意の速度を持つことを可能とする.また,有限要素法等では,メッシュが潰れるもしくは裏返るなどで解が得られなくなることを避けるために,流体領域を弾性変形させる(4)(5)など,様々な方法でメッシュをコントロールする方法が用いられる.このように,適合メッシュ型のアプローチはメッシュコントロールが必要となる一方で,境界面周辺の流体境界層を解像する詳細メッシュを境界面付近に維持し続けられるため,高精度な流体解析が可能となる.これらの数値解析アプローチは既にかなり成熟していると言え,近年は,心臓弁(6)などの医療応用や,風車(7)などの大型構造物の解析など,様々なアプリケーションを対象に,実問題の解析が広く実施されている.
非適合メッシュ型のアプローチでは,基本的に静止した(Euler 記述)流体メッシュを用い,移動する流体構造境界の追跡を行わない.これにより,構造表面に流体メッシュを沿わせる必要がなくなるため,メッシュ生成の自由度が高く,大変形やトポロジー変化(構造の破断や複数物体の接触・分離など)にも対応しやすいのが利点である.一方で,流体構造境界条件をメッシュ上でどのように表現・満足させるかが数値解析面での課題となる.また,適合メッシュ型とは異なり,流体境界層を適切かつ詳細に解像するためには,大自由度の並列計算(8)や,adaptive mesh refinement(AMR)などの可変解像度メッシュ(9)のようなアプローチが必要となり,近年でもこれらの研究が国内外問わず盛んである.境界条件の表現に関する代表的な手法群に,埋め込み境界(immersed boundary)法(10)(11)がある.埋め込み境界法というカテゴリは非常に多岐に渡るので,様々な境界条件付与の方法があるが,基本的には固定流体格子中に構造物を仮想的に配置し,構造の存在を流体の外力項として流体に加えることで境界条件を近似的に満たす.非適合メッシュ手法には他にも,拡張有限要素法(extended finite element method)(12)などを用いて,流体構造境界面における不連続性を陽に表現する方法(13)もあり,Euler 記述の流体メッシュに対して,様々なアプローチで境界条件を付与する数理的方法が展開されている.
上記双方のアプローチにおいて,境界条件を数理的に課す方法にはペナルティ法や Nitsche 法,Lagrange 未定乗数法やその拡張手法など(14)が用いられる.これらの方法は,接触する固体間の拘束条件に対して広く用いられ研究が進められている方法であり,本節冒頭に述べた通り,「領域間に何らかの拘束条件を持つ多領域問題の数値解析」のように抽象的に問題を捉えなおすことで,マルチフィジックスというラベルにとらわれない数値解析戦略の策定と,各分野で利活用されている数理の輸出入が可能である.ここでは具体的な研究例は出さないが,次元低減モデリングや機械学習などの情報科学的アプローチを援用した数値解析手法も,マルチフィジックス解析への展開され,「知的なマルチフィジックス解析」ともいえる研究が続々と出現しており,今後のさらなる研究展開が期待される.
最後に余談ではあるが,近年の生成AIによる学術情報収集は,上記のように学術的・数理的コンセプトを整理する作業においては専門家の方がはるかに優秀であるのは間違いないが,近年の研究動向,とりわけ実問題への適用例等を調査するという点においては,効率面において,既に専門家よりも生成AIのほうがはるかに優秀である.実問題の解析事例に関しては,本節にて記述したキーワードを基に生成AIを使役し,各人が必要とする動向調査に役立てていただければ幸いである.
〔三目 直登 筑波大学〕
3.4 材料・マルチスケール
固体材料の諸特性は,ミクロな自由度である電子や原子の振る舞いから,欠陥群の集団的挙動や内部微視組織の発展,マクロ場の性質・特徴まで広範な時空間スケールにわたる階層構造に依拠している.各スケールの現象を的確に捉え,時空間の階層を超えてマルチスケールな材料モデリングを構築することは大きな研究目標となっている.
2024年度の研究動向を,日本機械学会論文集,2024年10月にトークネットホール仙台で行われた第37回計算力学講演会(CMD2024)のプログラム・予稿集から調査した.日本機械学会論文集については,「材料力学・機械材料・材料加工」と「計算力学」のカテゴリーを対象としたが,これらの中で計算材料力学に関連した論文としては,これらの中で計算材料力学に関連した論文としては,応力,変形,固有振動などの有限要素解析(1,2)や強誘電性物性の第一原理計算(3)について機械学習技術を応用した高精度予測,キネティックモンテカルロ法と有限要素法を用いた多孔質セラミック体の微細構造とヤング率の解析(4),Block Newton法による弾塑性損傷解析(5)などが報告されている.その他の動向としては,マルチマテリアルトポロジー最適化手法(6),円筒ハニカムコア構造の解析(7),繊維強化複合材料のマルチスケール近似確率応力解析(8)などが報告されている.ミクロ系とマクロ系における計算手法の発展が着実に進んでおり,今後はさらなる方法論の高度化やスケール間での情報伝達の議論が期待される.
CMD2024では,2つのOS「材料の組織・強度に関するマルチスケールアナリシス」と「電子・原子・マルチシミュレーションに基づく材料特性評価」に加えて,その合同セッション,合同ポスターセッションが開催され,2日間で計60件の研究発表が行われた.その内訳として,主たる手法・スケールに関しては,結晶塑性有限要素解析や微分幾何学による数理解析などの連続体系が28件,分子動力学法や転位動力学法などの離散系が24件,第一原理計算の量子系が8件である.解析対象としては,弾性特性,塑性変形,転位,回位,キンク変形,変形双晶,粒界,界面,き裂,水素脆化など,力学特性に関連した様々な対象が研究されている.また,磁気熱電効果や非定常熱・機械連成挙動の自己発熱のようなマルチフィジックス現象,化学機械研磨や摩耗の固体表面のダイナミクスなどの研究発表もあり,多種多様な現象が解析対象となっている.
材料特性の発現機構をマルチスケールに理解するという大きな目標のために,計算力学分野が担う役割は大きい.スケール間の橋渡しは未だに難しい問題であるが,CMDの合同セッションのように,ミクロ系とマクロ系の研究が相互に議論を重ねることで着実に進展すると思われる.そして,今後も各スケールでの計算手法が発展し,解析対象が拡大していくことで,学術的な豊かさがより一層増していくことが期待される.
〔松中大介 信州大学〕
3.5 計算バイオメカニクス
3.5.1 概要
計算バイオメカニクスは,生体に関係する諸々の物理・力学現象に対して,数理モデルや数値解析を通じた理解に挑む学術的アプローチの総称である.各スケールまたはスケールを横断する生命現象の理解や,医療応用,バイオミメティクスの観点に基づく工学応用など,様々な動機の下で,計算技術の開発・アプリケーションの構築が進められている.研究対象は多岐にわたり,細胞,組織のメカニクスや,臓器の機能および病態理解,全身の運動制御などのほか,近年では,微生物,動植物の運動(飛行,遊泳),動物の手段行動などを対象とする新しい分野の進展も著しい.本稿では2024年における国内外の計算バイオメカニクスの動向を紹介するとともに,同分野の新しい研究対象の一つである,脳循環を対象とした計算バイオメカクスの状況を紹介する.
3.5.2 2024年における国内外の研究動向
国内の動向として,2024年度に日本機械学会が主催した第37回計算力学講演会(1)(2024年10月18日~20日,トークネットホール仙台),第36回バイオエンジニアリング講演会(2)(2024年5月11日~12日,名古屋工業大学),第35回バイオフロンティア講演会(3)(2024年12月14日~15日,横浜国立大学)を対象に計算バイオメカニクス関連の講演を調査すると,以前からの医工連携の一環として,循環器系・整形外科系の力学解析が継続的に取り組まれているほか,細胞中の物質輸送や血球運動など細胞スケールの力学解析,組織・臓器(骨や肺,小腸,血管など)の形態形成など,基礎生物学分野との連携が強化されつつある.微生物や鳥,昆虫などの動物の動作原理の理解や,その工学応用も全体の大きなウェイトを占めており,生体に関連する多様な研究分野において,計算バイオメカニクスが研究開発の基盤的アプローチとして広く普及した様子が見て取れる.また,大型研究プロジェクトとして,文部科学省が推進する富岳成果創出加速プログラムにおいて,「富岳で実現するヒト脳循環デジタルツイン」が実施され(4),大型並列計算機のリソースを活用した,後述する脳循環系を対象とする計算バイオメカニクスの社会実装に向けた試みが進められている.
国外の動向として,計算バイオメカニクスに特化した2つの主要な国際会議である19th International Symposium on Computer Methods in Biomechanics and Biomedical Engineering, CMBBE 2024 SYMPOSIUM(5)(2024年7月30日~8月1日,Vancouver)および,8th International Conference on Computational & mathematical biomedical engineering,CMBE24(6)(2024年6月24日~26日,Washington)が2024年に開催された.CMBBEでは,本分野のmain topicとして,教育的内容も含む37項目が網羅的にまとめられ,研究報告だけでなく教育目的の企画・ワークショップが複数開催されるなど,当分野の振興を推進している.一方で2024年のCMBEは,循環器を中心とする生体流れに特化した計17件のオーガナイズドセッションで構成され,より専門性に富む議論が展開された.特に後者では,データ駆動型アプローチや医療・生体用のデジタルツインの構築,AI/深層学習の応用などのセッションが目立ち,臨床現場で得られる種々の大規模な計測情報を活用した,計算バイオメカニクスにおける次の医工連携の模索が進められている.
3.5.3 脳循環の計算バイオメカニクス
頭蓋内の液相(血液・脳脊髄液・脳間質液)の動態と,脳の生理機能や脳神経障害との関連が近年次々と明らかになり,この脳全体での液相の循環(脳循環)が,計算バイオメカニクスの新しい大きなトピックの一つになりつつある.2010年代以降の動向として,頭蓋内への血液の流入出に起因する脳実質の脈動が脳脊髄液の流れを駆動し,脳内の老廃物の除去機構としてはたらくとするGlymphaticシステムの発見(7)や,約100年前から定説とされてきた頭蓋内全域の脳脊髄液の流動機構(third circulation)の否定など(8),脳循環のメカニクスに関する分野全体が大きな変革の最中にある.計算バイオメカニクス分野において,脳表の細動脈周辺の微細な脳脊髄液の流動(9),脳室系における脳脊髄液の混合(10)や,脳室壁面の繊毛運動の影響(11)など,複数の観点から脳脊髄液の流動特性に関する知見が得られつつある.また,頭蓋内全域における複数の液相間の交通を考慮した多孔質弾性体モデル(multiple-network poroelasticity)(12)など,近年の基礎生物・医学分野の知見を反映した新しい脳の力学モデルの開発が進められている.
一方で,基礎生物学における計測データはミクロスケールが主であり,頭蓋内全域の巨視的な水動態の非侵襲計測は,医用MRIによる流動場の計測がほぼ唯一の手段となる.MRI流動計測の主対象である大血管の流れと比較して,脳内の液相の流動は相対的に遅く,脳循環に特化したMRIの確立や,計測情報の評価指標の確立などが望まれる(13).この点においても,計算力学のアプローチによるMRI流動計測の観測モデルの開発が進められており(14),力学的観点からのMRIの定量的理解やデータ同化への応用が期待される.以上より,近年の新しい学術分野の一つである脳循環において,力学現象の記述から計測情報の解釈まで,全てのフェーズを裏打ちする基盤技術として,計算バイオメカニクスは今後さらにその重要性を増すと考えられる.
〔大谷 智仁 大阪大学〕
3.6 機械学習と計算力学の融合
3.6.1 はじめに
近年,機械学習技術の進展により,従来の数理モデルやシミュレーションに依存していた計算力学の分野にも革新がもたらされている.計算力学は,構造物や流体,熱伝導などの物理現象を数値解析によって予測・解析する学問分野であり,有限要素法(Finite Element Method, FEM)や有限差分法(Finite Difference Method, FDM)などが長年活用されてきた.しかし,これらの手法は膨大な計算資源や高いモデリング精度を必要とし,特にマルチスケール・マルチフィジックス問題においては解析コストが大きな課題となっている.
これに対し,機械学習は大規模データからの特徴抽出や高速な予測を得意とするため,物理法則の一部を学習により代替・補完することで,新たな計算力学のアプローチを切り開いている.2025年は物理情報を組み込んだニューラルネットワーク(Phisics-Informed Neural Nerworks, PINNs),生成AI(Generative artificial intelligence)による構造最適化,転移学習を活用したモデリング効率化などが注目を集めており,本稿ではこれらの技術を計算力学の視点から概観し,その融合による可能性と課題について論じる.
3.6.2 PINNs
物理情報を損失関数に組み込んで学習を行うPINNsは,観測データが少ない場合でも高精度な予測が可能となる手法である.PINNsは偏微分方程式(Partial Differential Equation, PDE)や初期・境界条件をニューラルネットワークの訓練に組み込み,物理整合性を保ったまま未知場の予測を可能とする.
例えば,深層学習を用いた非線形PDEの学習により,Burgers方程式やNavier–Stokes方程式を正確に再現する研究が報告されている.(1) また,弾性板の変形解析(2)や,2次元乱流の高速シミュレーション(3)など幅広い応用事例が存在する.これらは,従来の数値解法と比較して計算速度や柔軟性において利点を持つ.一方で,学習の安定性やハイパーパラメータ調整,スケーラビリティに関する課題も指摘されている.
3.6.3 生成AI
生成AIは,微視構造設計やトポロジー最適化への応用が進んでいる.拡散モデルやGANなどの生成モデルは,物性目標に応じた構造画像を生成し,その結果を数値解析と連携させることで新規設計を加速させる.
実際に,ファン形状の風圧と騒音に関する多目的最適化(4),マルチフェーズフィールド法の計算高速化(5),建築構造計算の自動化(6)などが報告されており,物理制約を持つ高次元設計空間においても有効である.生成AIは従来の感度解析や遺伝的アルゴリズムとは異なる設計パラダイムを提供し,設計探索の多様性を拡張する.ただし,生成結果の物理妥当性検証や,条件付けの工夫が引き続き重要である.
3.6.4 転移学習
転移学習は,既存モデルの知識を新しい解析条件へ効率的に適用する手法である.構造解析や材料設計において,一度学習したモデルを他の荷重条件や幾何条件に転用し,必要な再学習を最小限に抑えることができる.
近年では,ハミルトン力学を組み込んだニューラルネットワークを通じてエネルギーの保存部分と散逸部分を考慮して学習させたり(7),量子アニーリングなどのブラックボックス最適化法と組み合わせた手法(9)が提案されている.また,原子スケールでの材料強度予測やき裂進展の機械学習シミュレーションも行われており,多階層モデリングにおける知識の再利用が進んでいる.数値シミュレーションで学習したモデルを,実験結果で転移学習させ,実験結果を予測させるという試み(10)もなされている.
このように,転移学習は多様な解析パラメータに対するモデルの柔軟性を高めるだけでなく,実験回数や数値解析回数の削減にも貢献する.一方で,転移の有効性や安定性,再学習範囲の最適化に関する理論的基盤の整備が今後の課題である.
3.6.5 おわりに
機械学習と計算力学の融合は,多くの場面でごく自然に行われるようになりつつある.特に最適化や逆問題,高速予測の分野で顕著である.今後も,物理妥当性を保ちつつ汎用性のあるモデルを構築するための理論と実装の更なる発展が期待される.
〔村松 眞由 慶應義塾大学〕
3.7 産業界での計算力学
3.7.1 概況
近年、カーボンニュートラル(CN)やグリーントランスフォーメーション(GX)の推進に伴い、エネルギー効率の向上や環境負荷の低減を目的としたシミュレーションが注目されている。特に、再生可能エネルギーを用いたシステムの最適設計においては、自動車関連(軽量化、モータ)、二次電池解析技術やメタネーションの電気化学反応解析を中心に技術開発が進んでいる。また、バッテリーの寿命予測や電動モビリティのエネルギーマネジメント最適化も、計算力学の応用範囲として拡大している。産業界では、こうしたシミュレーション技術を駆使し、カーボンフットプリントの削減と持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた取り組みが進められている。
3.7.2 CAEベンダーの動向
CAE(Computer-Aided Engineering)ソフトウェアを提供するベンダーは、持続可能な開発目標(SDGs)や環境負荷低減を意識した技術開発を進めている。ANSYS(Synopsys)(1)、Siemens (2)、COMSOL(3)などの主要ベンダーは、エネルギー効率の最適化やカーボンニュートラル対応のための解析機能を強化している。また、クラウドコンピューティングやAIを活用したシミュレーションの自動化も進められている。
3.7.3 モデルベース開発の周辺動向
モデルベース開発(MBD: Model-Based Development)は、カーボンニュートラル達成に向けた製品設計の効率化に貢献している。特に、エネルギー効率の高い製品開発のために、システムシミュレーションと連携したMBDが求められており、MATLAB/SimulinkなどのツールとCAE解析の統合によって環境負荷の低い設計が可能となっている。
具体的なシミュレーションの例として、自動車産業では、電気自動車(EV)のエネルギーマネジメント最適化が挙げられる。例えば、バッテリーの熱管理を最適化するための1Dシミュレーション(4)である。また、軽量化設計を目的としたトポロジー最適化と組み合わせた構造解析によってエネルギー効率の向上が図られており、産業全体のカーボンニュートラル推進が加速している。
3.7.4 カーボンニュートラルにおける計算力学の活用
計算力学は、カーボンニュートラルとグリーントランスフォーメーション(GX)の推進において不可欠な技術である。以下に具体的な活用事例を示す。
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自動車および航空機の軽量化設計
自動車および航空機産業では、CAEを活用したトポロジー最適化(5)により、強度を維持しつつ材料使用量を削減し、燃費向上を実現している。特に、カーボンファイバーやアルミニウム合金の適用において、詳細な構造解析が不可欠となっている。
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二次電池および燃料電池の性能と安全性向上
電気自動車を始めとしてリチウムイオン電池の利用が拡大する中において、リチウムイオン電池の充放電シミュレーションによって内部の化学反応や熱分布を解析することで性能予測や性能向上のための検討が行われている。近年では、電池性能のばらつきを考慮した安全性評価と寿命の最適化の検討が行われている(6)。
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メタネーション技術の最適化
CO₂と水素を合成してメタンを生成するメタネーション技術は、再生可能エネルギー由来の水素を活用したカーボンリサイクルの手段として注目されている。COMSOLによる触媒の劣化を考慮した反応炉内の流体挙動や熱分布を組み合わせたシミュレーション(7)やとCOMSOLとMATLAB/Simulinkを組み合わせた触媒ペレットの充填方法の最適化(8)など、触媒の効率を向上させ、プロセス全体のエネルギー消費を低減するための検討を行っている。
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モータ設計の効率化
カーボンニュートラルを実現するためには、エネルギー消費を削減し、より高効率なモータの開発が不可欠である。特に、トポロジー最適化やパラメトリック最適化などの設計手法を活用することで、モータの性能向上と設計プロセスの効率化が進められている(9)。例えば、電磁場解析を用いてロータやステータの形状を最適化し、トルク向上と材料使用量の削減を両立することで、消費電力を削減しつつ高性能なモータを設計するとともに、深層学習を活用した代理モデルにより、試作回数を減らし、開発期間の短縮も可能になる。
これらの技術の活用により、エネルギー利用の最適化や環境負荷の低減を推進している。
3.7.5 今後の展望
計算力学は、今後もカーボンニュートラルやグリーントランスフォーメーションの実現に向けて重要な役割を果たしていくと考えられる。特に、AIや機械学習との融合が進むことで、より精度の高い最適化や自動化が実現し、エンジニアの負担を軽減することが期待される。今後の技術革新に伴い、計算力学の適用範囲はさらに広がり、新たな産業分野での応用が期待される。
〔野口 曉 株式会社コベルコ科研〕