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2023/7 Vol.126

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特集 特集 宇宙産業の成長と展望

人工衛星の小型高性能化に資するNEC の技術開発

尾曲 邦之・金子 直之・持田 則彦・八木 拓哉〔日本電気(株)〕

はじめに

宇宙開発・利用に関するNECの取組み

NECは、日本の宇宙開発におけるリーディングカンパニーとして、図1に示すさまざまな宇宙関連製品を提供している。人工衛星、地上システム、衛星やロケットの搭載コンポーネントの製造にとどまらず、これらの製品と技術力を基盤とした「宇宙ソリューション」を提供することを志向し、利用システムやサービス分野にも注力している。その一例として、経済産業省補助事業による高性能小型レーダー衛星「ASNARO-2」の開発と整備、宇宙利用サービス事業の拠点として衛星の運用業務を行う「NEC衛星オペレーションセンター」の設置があげられる。また、リモートセンシングサービスを提供する「日本地球観測衛星サービス(株)〔JEOSS〕」の設立などを通じて、衛星の製造から利用まで一貫した宇宙ソリューションを提供する国内初の衛星製造企業として、さまざまな社会課題の解決に貢献している(1)

本稿では、新しい宇宙利用形態のひとつとしてますます注目を集めている小型衛星コンステレーションを念頭に、当社が考える人工衛星の小型高性能化に関する重要技術領域と、その実現に向けた取組みを説明する。

人工衛星の小型化高性能化を見据えた当社の取組みは、「小型標準バスNEXTAR」に遡ることができる(2)。本稿の初めに、NEXTARおよびその実証プロジェクトとしてのASNAROプロジェクトについて説明する。

本稿の続く部分では、人工衛星の小型化と高性能化がますます進展する中で重要となる要素技術について説明する。近年、人工衛星が処理するデータ量が飛躍的に増大し、人工衛星の内部でこれまで以上に高度な処理を行うことが求められている。その実現には、小型衛星においても大きな電力を供給し、かつ排熱を効率的に行う必要がある。本稿ではまず衛星システムの要素技術としての太陽電池パドルと高効率排熱技術について説明し、後半では搭載コンポーネントとして、高効率電源機器の開発について説明する。

図1 NECの宇宙ソリューション(人工衛星・衛星サブシステム・衛星搭載コンポーネント・ロケット搭載機器・地上システム・利用システム&サービス)

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