日本機械学会サイト

目次に戻る

2025/11 Vol.128

バックナンバー

特集 非破壊検査の最近の動向―日本非破壊検査協会との協議締結に際して―

赤外線サーモグラフィによる鋼橋のき裂検出

阪上隆英・塩澤大輝(神戸大学)、溝上善昭・河野晴彦〔本州四国連絡高速道路(株)〕、和泉遊以(滋賀県立大学)

はじめに

本州と四国を結ぶ本州四国連絡高速道路(本四高速)には、多くの長大鋼橋梁が架設されており、これらの維持管理においては、目視では検出困難な変状を捉えて構造物の老朽化に適切に対応していくことが必要であり、新しい非破壊検査技術の橋梁点検への実装が期待されている(1)。本稿では、これまでに技術開発を行い、本四高速の橋梁点検に実装されている技術のうち、赤外線サーモグラフィによる疲労き裂検出技術を紹介する。

海峡を跨ぐ長大橋には、死荷重の軽減を目的に図1のような鋼構造(鋼床版)が多く採用されている。近年、鋼床版では、大型車の載荷に起因する疲労損傷が多く報告されている。本四高速においても、鋼床版のデッキプレートとUリブのすみ肉溶接部に疲労き裂が確認され、適宜補修が行われてきた(2)

図1 デッキプレートとUリブ溶接部の疲労き裂

疲労損傷は、損傷が軽微な早期に発見することが補修コストや構造安全性の観点から重要となる。疲労き裂の点検は、遠望からの目視点検では検出は困難であることから、従来の点検では溶接部に近接して目視点検により塗膜の割れの有無を確認することが基本であった。塗膜割れを検出した場合には、図面や輪荷重位置から疲労き裂の存在を疑い、近接点検用の足場を設置し、必要に応じて塗膜を除去したあと、磁粉探傷などによる非破壊検査を行っていた。しかしながら、疲労き裂の疑いがある塗膜割れから実際に疲労き裂が発見される割合は10~20%程度と低いことが知られており(3)、疲労き裂と関係しない塗膜割れによる点検業務の非効率性、高コストが課題となっていた。

そこで筆者ら(4)は、鋼床版のUリブに発生するき裂のうち、発生数の多いデッキプレートとUリブのすみ肉溶接部の、図1に示したようなビード進展型き裂に対し、赤外線サーモグラフィを用いた温度分布計測に基づき、塗膜を除去することなく遠隔から非接触・非破壊で、高効率・高精度に検出可能な手法および装置を開発した。また、開発した手法および装置を用いて、本四高速において疲労き裂発生の疑いのある橋梁を対象に、平成26年度からの橋梁点検に実装してきた。

会員ログイン

続きを読むには会員ログインが必要です。機械学会会員の方はこちらからログインしてください。

入会のご案内

パスワードをお忘れの方はこちらでメールアドレスを入力して次へ進んでください 。

ORCIDでログインされている方はこちらの操作でA-Passのパスワードを>作成してからログインしてください。

キーワード: