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2026/4 Vol.129

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多様性なき機械工学に未来はあるか

第3回 ジェンダード· イノベーションのための情報可視化

伊藤 貴之(お茶の水女子大学)

はじめに

ジェンダード・イノベーションとは/情報可視化とは

ジェンダード・イノベーションとは、研究開発の過程にて性差分析結果を考慮することで、男性にも女性にも満足度の高いイノベーションを創出する活動の総称である。例えば医学の分野では、女性の更年期障害特有の病気や、骨粗しょう症後の男性特有の死亡率の高さなどへの対策が注目されている。薬学の分野では、特定の性別にのみ副作用が大きい薬品への対策が進んでいる。自動車産業では、男性サイズの人形が実験に使われたことに起因する女性特有のシートベルトの危険性が指摘されている。

ジェンダード・イノベーションは新しい研究課題にあふれた取組みであると同時に、多様なビジネスチャンスが転がっている取組みでもある。筆者の勤務先であるお茶の水女子大学では、日本の大学としては最も古く2022年にジェンダード・イノベーション研究所を設立し、この問題に取り組んでいる。

ジェンダード・イノベーションにおける問題発見・問題解決の出発点はデータから性差を解明することである。言い換えれば、性差を解明するための分析手法自体が、ジェンダード・イノベーションの重要な研究課題の一つである。

筆者は情報科学技術の研究教育を本業としており、主に情報可視化(1)という学術分野を専攻している。情報可視化とは、計算機が扱うデータを効果的に画面表示する技術の総称である。近年のデータサイエンスの流行により、人間がデータを理解することの重要性が再認識されており、情報可視化はそのために必要不可欠な技術として注目が高まっている。

本稿では、計算機が扱うデータの中に潜む性差を分析することを目的として、筆者自身が取り組んできた情報可視化の研究事例について紹介するとともに、その課題や展望について論じる。

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