特集 宇宙エレベーター実現へのハードルと可能性
宇宙エレベータークライマー開発
はじめに
宇宙エレベーターは、1895年にコンスタンチン・ツィオルコフスキーの思考実験報告書(1)に基づき、最終的にブラッドリー・エドワーズ(2)によって具体化された、安価で定期的な宇宙輸送システムである。近年、石川洋二ら(3)は、エドワーズが示した建設手法を現状の技術レベルで再構築することで、2050年代に宇宙エレベーターの実現を目指したプロジェクトを企画し、その可能性を示している。
宇宙エレベーターの実現には多くの障害があり、主な障害は高強度テザーと信頼性の高いクライマーの開発である。テザー材料にはカーボンナノチューブ(CNT)が最適とされているが、現在のCNTテザーは引張強度や伸長の点でまだ不十分であり、さらなるイノベーションが求められている。
一方、より重要なもう1つの技術は、高速で信頼性の高いクライマーの開発である。クライマーが静止軌道に1週間程度で到達する場合、クライマーは時速200kmを超える速度となり、少なくとも36,000kmの静止軌道(GEO)まで故障なく走行して、積載物を運ぶ必要がある。また、このような速度でクライマーがテザーを登るには、数千kwのモーターを複数台稼働させるパワーが必要である。有線受電やバッテリーだけでは到底間に合わないので、レーザー/マイクロ波ビーム(2)などの地上電源または太陽光(4)から十分な電力供給をえることが検討されている。
本稿では、エドワーズ(2)や石川(3)らが提案した宇宙エレベーター建設構想の計画を基に、各建設ステージで考案された各種のクライマーに着目し、建設初期から将来の実運用までのクライマーの役割と構造、技術的特徴を紹介する。また、現状レベルでクライマーを昇降させるための力学的条件(5)(6)を示すとともに、図1に示すようなテザー上を移動する小型クライマーの開発状況についても報告する。

図1 宇宙エレベータークライマーのモデル実験例
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