日本機械学会サイト

目次に戻る

2024/2 Vol.127

バックナンバー

絶滅危惧科目-基盤技術維持のための再考ー

第2回 誰が防ぐ“ねじ”のトラブル!

福岡 俊道(神戸大学)

ねじの歴史とその役割(1)

重い宿命を背負いながら使われている機械要素

ねじの起源は紀元前にさかのぼると言われている。19世紀の産業革命の時代に大きな発展を遂げ、1841年には英国のウィットウォースが最初のねじの規格を提案している。ねじ山の角度が55°であった点を除くと現在のねじと大きな違いはない。締結を目的として使用される場合、ねじは軸受、歯車、ばねのように自らが動くことはない。また軸受、歯車、ばねの場合、受ける荷重の形態はあらかじめ分かっているが、ねじは使用される箇所によって引張り、曲げ、ねじりなど作用する荷重が大きく異なり、それらが同時に作用するケースも多い。ねじに作用する荷重は産業革命以降急激に上昇した。当時と比べて、現在の鉄鋼材料の強度は顕著に上昇しているが、ねじに作用する荷重の上昇率は材料強度の上昇率をはるかに超えている。その結果、ねじに起因するトラブルが多数発生しており、それを防ぐためには力学理論に基づいた設計上の工夫が不可欠である。

会員ログイン

続きを読むには会員ログインが必要です。機械学会会員の方はこちらからログインしてください。

入会のご案内

パスワードをお忘れの方はこちら

キーワード: