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2025/12 Vol.128

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学会賞受賞論文のポイント

少ない実測点から詳細な3 次元気流構造を復元したい

村井 祐一(北海道大学)

2024年度日本機械学会賞(論文)受賞
エアコン室外機の集中配列が形成する3次元気流構造の計測
村井 祐一, 大友 衆示, 大須賀 侑, 山口 哲太
日本機械学会論文集 2024 年 90 巻 933 号 p. 24-00035
DOI: 10.1299/transjsme.24-00035

研究の着想

流体力学の本来の面白さは、ごく一部の観測結果から全体の法則性を推察することだろう。落ち葉が一枚、川の水面に漂流しているのを見ると、流れの向きと速度がわかる。その時間変化から加速度もわかる。落ち葉が二枚流れていると情報は一気に増える。二枚の軌跡の違いからは、定常流か非定常流かの判別ができる。その二枚が近接しているなら、渦、せん断、伸張などの、二点間の速度勾配テンソルを計ることが可能になる。三枚以上あれば情報量が激増し、流体力学の支配方程式を組み合わせた流れ場の復元が可能になってくる。そして流体中の応力分布や壁面に作用する力など我々が最終的に知りたい量に近づく。いわば、知ることを目的とした流体力学から、予測や制御を目的とする流体工学に展開すると言えるのではないか。では何枚の落ち葉があれば、工学的な設計や開発に活かせるような必要十分条件に達するのだろうか。

企業の求め

温暖化が進むほどエアコン電力消費が増加し、その分がまた温暖化の要因になる。ビル全体の冷房は、屋上に配列された多数の室外機からの熱の放出に依存する。しかし狭い屋上に密集配列した室外機は、特定の空間で空気が淀み、室外機同士で干渉して再循環するなどして、熱交換性能が頭打ちになっている。そこでどんな3次元流れが形成されているかを知りたいと言う。それが定量的に診断されれば、室外機の改良と配列の最適化の設計情報が得られるからだ。本研究はそのような産学共同研究として開始された。しかし、この要求に応えるには二つの難題が横たわる。

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