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2017/12 Vol.120

【表紙の絵】
「オゾンホール修復飛行船O3-ZES21」
久保 竜希 くん(当時10 歳)
O3-ZES21( オーゼス21:O Zone Eco Ship 21 century)この機械は飛行船にオゾン発生装置を取り付けて、上空で飛行しながらオゾンを製造し、オゾンホールをふさぎます。燃料はいりません。晴れの日は屋根のソーラーパネルで、曇りや雨の日はプロペラと、オゾン発生装置のファンが回ることで電気を作れます。出発前に地上でCO2 を取り込んで、上空でO3 に変えて、放出します。O3-ZES21 の作ったオゾンのおかげでオゾンホールがなくなり、紫外線がさえぎられて、南極の生き物が大喜びしています。

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おもしろイベント報告

遊び感覚で流れに親しみ、流れを知る

流れのふしぎ科学教室2017 in 埼玉

写真1 ななめに浮く風船

 

ふしぎな流れの世界に触れてみよう!

水や空気を使った実験は予想と逆のことが起こったりしてふしぎな題材が多い。そのため、科学入門書、理科教室、テレビ番組などでよく取り上げられているが、そこで説明されている原理が間違っていることが多い。このイベントでは、ふしぎな楽しい実験を体験してもらうことで、科学への興味と理解を深めることを目的としている。毎年、年次大会講演会の市民フォーラムの一つとして続けている。小中学生を対象とした「楽しい流れの実験教室」と理科教員、科学ボランティア、大学生等を対象とした「研修会」の2 部構成とした。

楽しい流れの実験教室(驚くようなふしぎ体験の連続)

同名のサイトが流体工学部門ホームページにあり、実験動画を公開している(1)。身近なものを使って簡単な流れの実験をしてみようというもので、毎年約3 万アクセスがある。

今回はその中から、小中学生を対象にいくつかの実験と工作を体験してもらった。つかみは「ななめに浮く風船」で、筆者は手を出さずに初参加の小学生に実験してもらった。風船をドライヤーで真上に上げて、次にドライヤーを傾けるとななめ上の位置に風船が浮かび、本人も見ている人も驚き!である。他には、「ボールの封じ込め」、「平板翼」、「あふれ出ない水」など。工作は「雪だるま」、「浮沈子」、体験実験は「ななめに浮く風船」の他、「ボールを筒から取り出す」、「にょろにょろ」などもりだくさんの体験に驚きの連続であった(いずれも参考(1)で動画公開中。YouTube では累計14 万再生を超えている)。

教員と科学ボランティアのための研修会(流体を知り、原理を正しく理解する)

空気や水に代表される流体は身近な存在であるが、驚くような現象が起こることから科学実験でよく取り上げられているが、原理の誤認識も多い。科学入門書の著者でも誤認識している例が散見され、間違いが広く拡散していると考えている。

誤認識の代表例は、「ベルヌーイの定理」を「流れが速い所では圧力が低い」ことであると誤解しているケースである。エネルギーの損失や供給がなく、同一の流線上の2 点で成り立つエネルギー保存則であると理解できていないもので、かなり多くの人が誤認識しているようである。詳細は楽しい流れの実験教室(1)の2017 年10 月公開「ベルヌーイの定理」に示した。

このような背景から、科学を教育、普及している理科教員等を対象とした研修会を、毎年8 月の流れのふしぎ展(日本科学未来館)と年次大会講演会で続けている。これまでの参加者は小学校教員~高校教員や学生の他、各地の科学館スタッフ、科学ボランティア、テレビ番組制作関係者など多彩である。

題材は、前項の実験教室で行ったものに加えて、「水と水あめ(粘性)」、「大小の風船(空気の質量)」、「自由渦と強制渦」、「水の加速」…「マグナスパイプ」など15 項目(1)に及び、間違えやすい事例についてはその矛盾を指摘し、受講者からは満足の声が聞かれた。

石綿良三(神奈川工科大学)

写真2 ボールを筒から取り出す

 

写真3 空気の質量

 

写真4 丸と四角


参考
(1) 流体工学部門ホームページ「楽しい流れの実験教室」
  http://www.jsme-fed.org/experiment/index.html

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