はじめに

ユーザビリティとユーザーエクスペリエンスは違う概念

ICT （Information Communication Technology）の領域において、従来のハードウェア／ソフトウェア製品 （products）やネットワークで構成された情報システム（system）だけでなく、インターネットなどを用いた情報サービスも注目されるようになってきている。本特集の趣旨にも書かれているように、これら製品・システム・サービスには、「利用できる」、「使いやすい」といったユーザビリティの観点だけでなく、近年では「使いたくなる」といった新しい経験や価値を提供することも求められるようになってきている。一般的にはこの「新しい価値や経験」を、ユーザーエクスペリエンス（User Experience、 以下UX）と呼ぶことが多い。

ユーザビリティとUXは、似たようなものであったり、ユーザビリティの延長線上にUXがあると説明されることもあるが、前者は「品質」として扱われ、後者は「価値」として扱われるため、全く別の概念として扱うべきである。