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2023/5 Vol.126

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会長挨拶

会長退任のご挨拶

 

 

 

 

 

 

2022年度(第100期)会長 加藤 千幸(東京大学)

 

新型コロナウィルスの感染拡大を経験してから3年が経過しました。その間、オンラインの有効活用によって、利便性の高い学会運営が可能になった反面、オンラインのみによる運営の限界も明確になりました。今期は、感染リスクを最小化する対策を実施した上で、3年ぶりに対面による学会運営を再開しました。これにより人と人とが直接触れ合うことが重要なシンポジウムなどは対面開催に戻り、一方、参加者にとっての利便性の高い講習会などはオンラインで開催するという方式が定着し、新型コロナウィルスと共存する学会運営の在り方も定着してきたと思います。

さて、第100期 (2022年度)は次の運営方針に基づいて取り組んで参りました。

(1) 社会的課題の解決に向けた学会の貢献強化と新 たな機械工学の創生

(2) コロナ後の社会変革を先取りした学会改革

(3) 学会の価値向上に向けたアクションプランの加速

本会の最大の課題は会員数の減少です。会員数減少の流れに歯止めを掛けることは容易ではありませんが、代表会員会、支部訪問、部門協議会、支部協議会、全体理事会などのさまざまな機会を捉えて、本会が抱える本質的な問題を明確にし、それに対する対応策を議論してきました。

特に、社会的課題の解決に向けて真摯に取り組むと共に、学術の将来動向を的確に捉え、新たな機械工学の創成に取り組む本会の姿を発信し続けることが必要です。3年前に4つの学会横断テーマを立ち上げ、課題の解決のための議論を進めてきました。これまでの議論によって、具体的な課題は明確になったと思っております。今後はそれを解決するための、より突っ込んだ議論が進むことを期待しています。また、新部門制の試行が3年前から始まっており、今年度は試行期間の最終年度として仕組みの検証を進めました。来年度からはいよいよ本格実施期間に移行します。新部門制は、部門のさらなる活性化と部門間連携の強化が目的です。新部門制の下で各部門の活動がますます活性化されていくことを強く期待しています。学術誌に関しては、その価値を高めるため、学術出版界において世界的に評価の高いDOAJ(Directory of Open Access Journals)に和文誌と英文誌5誌を申請し、全て収載が決まりました。また企業会員からの論文投稿を促すための施策にも取り組んできました。このような取り組みの成果もあって、コロナ禍の中で約7億円まで落ち込んでいた経常収益も来期予算では約9億円まで回復しています。

以上、いくつかの重点実施事項に関して言及しましたが、これ以外にもさまざまな取り組みを実施してきました。会員減少に歯止めを掛けることは喫緊の課題ですが、本当の目的は強い機械工学を取り戻すことであり、本会がその過程を強力にリードすることにあります。社会的な課題の解決のために機械工学はもっと大きな貢献ができると信じております。会員の皆様には、引き続き本会の活動にご理解とご協力いただければ誠に幸いに存じます。

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