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2023/5 Vol.126

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ムーンショット目標3:2050年AIとロボットの研究

多様な環境に適応しインフラ構築を革新する協働AI ロボット

永谷 圭司(東京大学)

はじめに

本研究開発プロジェクトでは、ムーンショット目標「2050年までに、AIとロボットの共進化により、自ら学習・行動し人と共生するロボットを実現」の中の「人が活動することが難しい環境で、自律的に判断し、自ら活動し成長するAIロボット」の実現に対して貢献することを目指し、研究開発を進めている。現状のロボットでは、月面や自然災害に代表される難環境では、環境状況に応じて臨機応変に対応することができない。そこで、本プロジェクトでは、河道閉塞と呼ばれる自然災害の応急復旧ならびに、月面でのインフラ構築という具体的な目標を設定し、2050年までに、難環境に臨機応変に対応しインフラ構築を可能とするAIロボット技術の研究開発を進めることとした(1)。このような技術を実現するためには、難環境における各ロボットの性能を向上するだけでなく、複数のロボットが協働して作業を行うためのAI技術、さらに、対象環境の情報を詳細に獲得し理解するセンシング技術やAI技術が必要であると考えられる。そこで、本プロジェクトでは、「土工の革新」「複数台ロボットの協働」「センシング」の三分野を設定し、それぞれの分野を構成する要素技術を19の研究機関でカバーすることとした。本プロジェクトの全体構成を図1に示す。本プロジェクトに参画している研究機関は、機械系、情報系の大学研究室のみならず、土木系の大学研究室や国研、ゼネコンやコンサルなど多岐にわたる。これらの研究機関が、次節に記す「開いた設計」という方針の下で、プロジェクト開始の2020年12月以来、研究開発を進めてきた。本稿では、本プロジェクトの概要を紹介するとともに、個別トピックの進捗状況について紹介する。

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