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2023/5 Vol.126

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転ばぬ先の失敗学

第5回 人災か?天災か?どちらにせよ、技術者ならば責任追及よりも再発防止を目指せ

中尾 政之(東京大学大学院)

ジャーナリストの興味は「人災か?天災か?」だけ

筆者は東日本大震災(2011年)の後、多くのジャーナリストからインタビューを受けた。そこで必ず最初に聞かれたことは、「この事故は人災ですか? 天災ですか?」である。

人災だと認定されたら、彼らは犯人捜しと責任追及を始める。そうすると、国民の興味を喚起して新聞・雑誌・書籍が売れる。でも天災だったら会合は終わり。筆者が「大津波は1000年に1回の不幸な天災です。想定外の天災まで担保せよと言われたら何も設計できない」と言うやいなや、興味を失って帰ってしまう。そもそも最初に、「失敗学でやるべきことは再発防止と損失軽減であって、責任追及と損害賠償請求ではない」と念を押したのに、蛙の面に小便だった。警察のように、真実よりも立件に興味がある。

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