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2017/7 Vol.120

「天気をこうかんするキカイ」
鬼塚 充暉 くん(当時8 歳)
雨のところと晴れのところをこうかん
するキカイ。雨がふらなくてこまって
いるさばくと、雨ばかりで外であそぶ
ことができない子どもたちのいるとこ
ろの天気をこうかんする。どっちもう
れしくなるゆめのキカイ。

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座談会

ジュニア会友と夢の機械を考える

日本機械学会は創立120 周年記念事業として、未来マップ作成プロジェクトを立ち上げた。機械の日・機械週間の企画行事として実施している「絵画コンテスト」の応募作品を対象に、それらを実際に実現するためのステップを考察し、未来の機械工学を想像することを目的にしたプロジェクトである。

本プロジェクトに関連して、「新しい未来マップ作成」小委員会 佐藤 勲 委員長が、ジュニア会友の小学生から夢の機械について話を聞いた。

 

佐藤:今日はジュニア会友の皆さんに、夢の機械のお話をしてもらおうと思います。日本機械学会では、機械の日「絵画コンテスト」に応募された「夢の機械」を実現する方法を検討する取り組みを行っています。これを行うことで、ぼんやりした未来を現実的に捉えることができるからです。

皆さんから「夢の機械」について、たくさんアイデアを出してもらいたいと思います。では、どんなものでもいいので、欲しい機械を教えて下さい。

祥子ちゃん:はい!スケートで金メダルが取れる機械が欲しいです。

佐藤:スケートをやってるの?機械で上手になれると楽だね。

祥子ちゃん:あと、好きな選手のサインももらえる機械が欲しいです!

佐藤:ほんとにスケートが好きなんだね!でも大人は著作権のこととか考えてしまうんですよね。

春希くん:お母さんが花粉症で辛そうなので、花粉をブロックする機械があったらいいなと思います。

佐藤:お母さん思いのアイデアですね。

春希くん:ブロックすると周りに花粉が飛んじゃうから、周りの人に迷惑になるかな。

春希くんのお母さん:今、花粉症で本当に辛いんですよ。切実ですね。

春希くん:でもやっぱりそんな機械を作るのは面倒くさいし、すごく大変なんだろうなぁ…。

佐藤:そんな機械を作るのは面倒に思うよね?でもそんな面倒なことを好きだと思う人がエンジニアといって、機械の研究をしているんだよ。

萌佳ちゃん:この前旅行に行った時に美味しいお菓子があったんだけど、後からそのことを思い出して、友達にお土産にすればよかったと後悔したから、美味しいお菓子を記録して後からでもお土産にできる機械が欲しいと思いました。

佐藤:旅先の食べ物をメモできて、取り寄せもできると大人にとってもすごく便利ですね。

萌佳ちゃん:あと、バーチャルおばあちゃんっていうのも考えました。

佐藤:バーチャルおばあちゃんってどんなもの?

萌佳ちゃん:えーっと。。

萌佳ちゃんのお父さん:私の母が祖母の介護をしていまして、いわゆる「老老介護」なんです。介護で時間があまり取れなくて、おばあちゃんに会えないので、バーチャルおばあちゃんがいるといいねという話をしていたんです。

佐藤:それは大変ですね。同じように困っている人は多くいらっしゃると思います。社会ニーズを反映した機械ですね。

祥子ちゃん:私はお兄ちゃんと喧嘩になると大変で負けると困るから透明になれるマントが欲しい。

祥子ちゃんのお母さん:子どもに注意し出すとキリがないので、私が子どもを叱る前に子どもたちにお知らせしてくれる機械があると助かりますね。自分の希望としては、出張が多いので、移動時間を節約できるように「どこでもドア」みたいなものがあるとありがたいです。あと、食材を並べれば料理ができる機械とか、そう考えると欲しいものは山ほどありますね。

航平くんのお母さん:私はDMとか学校からの案内とか、仕事のTo Do もそうですけど、そういったものを仕分けしてもらえる機械が欲しいですね。

祥子ちゃんのお母さん:それ分かります。私も欲しいです。

佐藤:お母さん方の欲しい機械は生活に直結していますね。切実な感じが伝わってきます。

芽莉ちゃん:私は食べたいものを言うと出てくる機械が欲しいです。

佐藤:それは食べたいものを言うの? 考えるだけで、形にできるロボットがもうすぐできると思うよ。でもダイエットしたい人は大変だね。

芽莉ちゃん:あと、弟が動物とお話したいと言ってたから、動物とお話できる機械があったらいいなと思う。それから、種を撒くと芽が出て木になるまで育ててくれる機械というのも弟と一緒に考えました。

芽莉ちゃんのお父さん:そのアイデアを聞いてなるほどと思いました。機械でセルロースができれば、宇宙での活用が期待されますよね。子どもたちと話していて、機械のことに動物とか植物が関連付けられるのは子どもならではだと思いました。我々エンジニアはどうしても機械というと無機物を考えてしまいます。

佐藤:こういった夢の機械は、遠い未来の話に思えますが、いくつかに分解して解決していけば、実現が少しずつ見えてきます。機械学会ではそのような未来につながる地図を描くような作業に取り組んでいきたいと思います。おそらく夢の機械の実現には何十年もかかるでしょうから、もしかすると小学生の皆さんが考えた「夢の機械」を、大人になってから自分の手で研究して、実現できるかもしれないですね!


不思議の科学~子どもたちとの意見交換の前に、工作体験でリラックス~

<ファラデーの法則を応用したモーター製作>

①アルミホイルで覆った工作用紙で輪っかを作る(直径約6cm)。
②ネオジウム磁石(100 円ショップで購入)を乾電池のマイナス側にくっつける。
③乾電池のプラス側に画鋲を乗せる。
 ④この画鋲の上に、①のアルミホイルで作った輪っかを乗せると、ぐるぐる回る
これを体験した子どもたちは不思議そうな表情で、なんども動かしていた。

企画 山田ふしぎ


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