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2017/7 Vol.120

「天気をこうかんするキカイ」
鬼塚 充暉 くん(当時8 歳)
雨のところと晴れのところをこうかん
するキカイ。雨がふらなくてこまって
いるさばくと、雨ばかりで外であそぶ
ことができない子どもたちのいるとこ
ろの天気をこうかんする。どっちもう
れしくなるゆめのキカイ。

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おもしろイベント報告

夢の素材「CFRP」を身近に!軽くて強いサンドイッチを作ろう

CFRPのサンドイッチ構造体を身近に知ってもらいたい

「軽くて、強い」、夢の材料と言われるCFRP(炭素繊維強化プラスチック)。強度はスチールの約10倍、重量は約25%。このCFRPは、航空宇宙機やレーシングカーのボディ、そしてテニスのラケットなどのスポーツ用品に使われている。そして、これからは普通の自動車にも利用されていくことが予想される。このCFRP の利用で、自動車の燃費は40%向上するとの予測もある。

そして、このCFRPの特性をさらに向上させるのがサンドイッチ構造。サンドイッチ構造とは、2枚の薄い高強度表皮で厚く軽量のコアを挟み接着したもので、高い強度を実現している。この構造により、CFRP 製部品は、更なる軽量化が可能となっている。

「この夢の材料と構造を、多くの人に身近に知ってもらいたい」という狙いから、今回のイベントの内容が決まった。(本研究室は、毎年、日本大学生産工学部の学園祭において、「メカライフの世界」展を開催している)

作業は、キーホルダーの作成と、強度実験

はじめに、パワーポイントで繊維強化プラスチック(FRP)とサンドイッチ構造の説明を行い、それぞれの特徴や使用されている機械について簡単な説明をした。

パワーポイントによる説明

次に各テーブルに分かれて、キーホルダーの作成を行った。時間の都合上、表面材に使用するCFRP板から作成することはできないので、CFRP板は学生があらかじめ作成。キーホルダーを作るからには、単純な形ではおもしろくない。しかし、複雑な形状だとカットするのが大変。何度も話し合い決まったのが、飛行機や自動車、動物などの形。イベントには、小さい子供も参加することが予想されたため、仕上げの研磨はサンドペーパーを使って学生が一枚一枚丁寧に仕上げた。当日は切断した表面材(CFRP)とコア材(硬質発泡ウレタン)、ストラップを袋に入れて参加者に配布。
参加者は、薄手のゴム手袋をはめて、表面材とコア材を慎重に接着していた。そして、ストラップを付ける作業も行った。

作成したキーホルダー

そして最後に、コア材単体・CFRP 単体・CFRP サンドイッチの試験片を使い、3点曲げ実験を行った。手で簡単に曲げられるコア材に、CFRP の表面材を上下面に各1枚貼るだけで、重さはあまり変わらないのに、曲がりの強度が大きく変化したことに対して、参加者は驚きを感じていた。サンドイッチ構造が軽量で剛性の高い構造であることを具体的な実例を通して、理解していただけた。

また、会場には日本大学生産工学部の「次世代複合材リサーチ・グループ」で開発したFRPの成形品を展示しており、最先端の研究成果にも触れてもらった。

3点曲げ実験の様子

親子でサンドイッチ材を成形

準備作業をしてくれた学生に感謝

普段食べている“ サンドイッチ”と同じ名前の付いた工業材料の仕組・効果とその将来性について、子供も大人たちも、身近な作業・実験を通して、理解を深めてくれたと思う。また、キーホルダーは非常に好評で、中でも飛行機の形状が一番人気であった。機械工学の面白さを少しでも体験していただけたのではと思う。最後に、事前のCFRPの切断や準備、そして実験の手伝いを担当してくれた学生に感謝する。

坂田 憲泰(日本大学)

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