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2021/12 Vol.124

機構模型

工部大学校の「機械学」教育機器(機械遺産第100号)

歯車を用いた往復運動

年代未詳/真鍮、鉄、木製台座/H250, W400, D300(mm)/東京大学総合研究博物館所蔵

工科大学もしくは工学部の備品番号「工キ學ニ二一〇」の木札付。本模型の年代は未詳であるが、東京大学総合研究博物館には工部大学校を示すプレート付きのものを含め、近代的な機械学教育のために明治期以降に導入された機構模型が現存する。

上野則宏撮影/東京大学総合研究博物館写真提供/インターメディアテク展示・収蔵

[東京大学総合研究博物館]

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特集 大型機械構造物の安全化の過去・現在・将来

移動式クレーンのダイナミクスにおける課題とシミュレーションの応用

菅野 直紀〔(株)神戸製鋼所〕・市川 靖生〔コベルコ建機(株)〕

はじめに

移動式クレーンは建築、土木工事のほか多くの用途に使われているが、近年工期短縮のため吊り荷が大型化・長尺化する傾向にあり、これに対応するために吊り上げ能力の向上が求められる。一方、クレーンを大型車両に積載して輸送する上での輸送性を確保するため、機械の小型化、軽量化も要求されている。

この課題に対して、移動式クレーン(図1)ではブーム、ジブといったアタッチメントを構成する鋼材を高強度化することで軽量化を図りつつ、吊り上げ能力を向上させる取り組みが進められている。しかしながら鋼材を高強度化するだけでは断面形状は変化しないため、剛性は向上しない。結果として、吊り上げ能力の向上に対し剛性が相対的に不足気味となり、旋回などの操作によって発生する吊り荷の横揺れによる横荷重に対してアタッチメントの変形が大きくなり吊り荷の位置合わせが難しくなるなど操作性上の課題が起こりやすくなる。この課題に対応するため、クレーンの能力やアタッチメントの断面形状などの機械諸元に応じたクレーンの操作時の動的挙動を予測するための技術が必要となる。また、移動式クレーンは、アタッチメントを油圧により駆動しているため、クレーンの動的挙動の予測には油圧駆動システムの動特性も考慮することが必要となる。

1 移動式クレーンの構成

そこで、このようなクレーンの操作時の動的挙動を予測するための手法として、当社開発のダイナミクス解析ソフトSINDYS(1)〜(5)を用いて、旋回操作時の油圧回路の応答やアタッチメントの弾性変形、吊り荷の揺れなどのクレーン全体の動的挙動を解析的に評価可能なモデルを開発した。また、カメラによる画像処理を用いて、旋回中のアタッチメントの動的挙動を計測する手法を開発し、この手法を用いて計測した実際の旋回操作時のクレーンの各部応答の計測結果と解析結果と比較することで、本解析モデルの妥当性を確認した。本稿では以上の結果について紹介する。

移動式クレーンのダイナミクス解析モデル

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