日本機械学会サイト

目次に戻る

2022/11 Vol.125

バックナンバー

特集 超音速で飛ぶ世界

大学における超音速実験機の研究開発~空気力学面の取り組みを中心として~

溝端 一秀(室蘭工業大学)

はじめに

大学で超音速飛行実験機を研究開発している

室蘭工業大学では、地上で研究された各種基盤技術を実際の高速飛行環境で実証するためのフライングテストベッドとして、マッハ2程度までの速度で飛行できる小型実験機の構築を目指している。これまで、クランクトアロー主翼を有する二世代の機体を提案してきた。第一世代では、推進器として反転軸流ファン式ターボジェットエンジン(1)を2基搭載する機体形状を提案し、その空力特性を風洞試験にて調べ、三自由度飛行解析によって飛行性能を予測した。さらに、実サイズのプロトタイプ機を製作し、2010年夏期の飛行試験によって低速飛行性能を実証した(2)

2011年度以降は、超音速飛行にいっそう適合したエアターボラムジェット・ガスジェネレータサイクル(ATR-GG)エンジン(3を1基搭載する第二世代機体の研究・開発を進めている。その翼面の形状・配置は第一世代と相似であるが、寸法と機首長さは推進器および所要推進剤の搭載のために拡大している。この第二世代実験機について、静的六分力空力や操舵空力の特性を風洞試験によって明らかにしてきた(4)。さらに、以下の空気力学面の取り組みを進めている。

(1)超音速域到達を確実化するための遷音速抗力低減

(2)詳細な飛行性能予測や自律誘導制御システム構築に必要な姿勢変化角速度に起因する動的空力特性データの取得とその発生メカニズムの解明

(3)地面効果を明らかにする試み

(4)6自由度飛行解析によるロール操舵応答や滑走離陸性能の予測

(5)1/3スケール縮小機体を製作し飛行させることを通して、空力面の妥当性検証

本稿では、このような超音速実験機の空気力学面について最近の取り組みを紹介する。

会員ログイン

続きを読むには会員ログインが必要です。機械学会会員の方はこちらからログインしてください。

入会のご案内

パスワードをお忘れの方はこちら

キーワード: