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2023/8 Vol.126

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転ばぬ先の失敗学

第8回 飲み屋に行っても違和感を抱けるか

中尾 政之(東京大学大学院)

 

飲み屋に行っても違和感でビビッときますか?

前回で述べたように、筆者の「失敗学」は2020年頃に「失敗知識のマネジメントから違和感起点の仮説生成へ」と“宗旨”を変えた。すなわち、「アレッ変だな」「何か起きそうだな」という違和感でビビッと体が震えたら、失敗学の“初等科卒業”になる。次に「なぜビビッときたのだろう?」を考え始めればよい。自然と具体的なリスクが目に浮かんでくる。

2023年5月11日、失敗学会総会の後、“宗祖”の畑村洋太郎先生と元検事の古川元晴先生と飲みに行った。お二方は82歳。「行きつけの店はこの上」と畑村先生に言われて見上げると、踏面が狭くて傾斜が急な階段が2階まで真っすぐ伸びていた。ビビッときた! 何かと似ている。そうだ、数年前、お二方と本郷の飲み屋の2階で飲んだ後、古川先生が転落した内階段とソックリ。落ちた時は心拍停止。たまたま店内で飲んでいた医者が直ちに人工呼吸を施してくれたので、彼は息を吹き返した。この時の人工呼吸は激しくて、彼の肋骨は2本も折れていた。テレビ番組でも医者役の俳優が「戻って来い!」と叫びながら人工呼吸しているが、この時の激しさから比べると緩すぎて嘘っぽい。そうか、今日も酔ったあとの階段が危ないゾ。

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