日本機械学会サイト

目次に戻る

2024/4 Vol.127

バックナンバー

特集 ベンチャー企業の実際

起業からIPO、そして、新たな出発

野波 健蔵〔(株)AutonomyHD〕

起業を選択した理由

千葉大学野波研究室では1998年から小型無人航空機、いわゆる飛行ロボット・ドローンの自律制御の研究を実施してきた。そして、2001年に小型無人ヘリコプタの完全自律制御に日本で初めて成功し、その後、野波研の飛行ロボット関連の博士課程修了者も20人近くになり、いっそう自律制御技術が進化していった。こうした背景の中で、世界的にも第一級レベルに成熟しているオートパイロット技術や先端的な自律飛行制御技術を絶やしてはいけないという思いをもっていた。

選択肢の一つは企業に技術移転を図り、企業レベルで製品化まで発展させる、もう一つは自ら起業するということであった。まず、共同研究先の企業に技術移転の可能性を探るべく2007~2008年ごろからアプローチをしたが、ドローンの話題が大きくなってきたのは2013年ごろで、当時は時期尚早と判断する企業ばかりであった。

しかし、ドローン産業は必ず大きな産業になることを確信していたので、国産ドローンの産業育成と振興を目指して、2012年にミニサーベイヤーコンソーシアムという産学官連携組織を46社で設立し、その本部事務局を千葉大学内に置いた。そして、筆者自身がオートパイロットや飛行制御技術のコア技術の会社を立ち上げて、ものづくりや量産化、販売・サービスを得意分野の会員企業に委託して連携するのがよいと判断した。ユーザーとして機体を買いたいという人たちもコンソーシアムの内外に大勢いたので、ビジネスにもなると判断した。いわゆるオープンイノベーションという形態であった。

会員ログイン

続きを読むには会員ログインが必要です。機械学会会員の方はこちらからログインしてください。

入会のご案内

パスワードをお忘れの方はこちら

キーワード: