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2025/9 Vol.128

表紙:経年変化してグラデーションに紙焼けをした古紙を材料にコラージュ作品を生み出す作家「余地|yoti」。
古い科学雑誌を素材にして、特集名に着想を受け、つくりおろしています。

デザイン SKG(株)
表紙絵 佐藤 洋美(余地|yoti)

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特集 逆問題解析研究を振り返る

非定常熱伝導の逆問題解析

門出 政則(佐賀大学)

非定常熱伝導の基本解とその特性

固体内の温度(温度場と呼ぶ)は、境界面上での温度や熱流束の変化(境界条件と呼ぶ)によって非定常的に変化する。この温度場の支配方程式は、一般に次式で与えられる。

$$
\frac{\partial T}{\partial t} = a\nabla^2 T, \quad t>0
\tag{1}
$$

この基本解は、例えば直角座標系では

$$
u(x,t)v(y,t)w(z,t) = \left(\frac{e^{-x^2/4at}}{t^{1/2}}\right)\left(\frac{e^{-y^2/4at}}{t^{1/2}}\right)\left(\frac{e^{-z^2/4at}}{t^{1/2}}\right)
\tag{2}
$$

と表記できる。

この基本解は、時間 $t$と場所$(x, y, z)$に対して一様収束しないという特性に留意する必要がある。また、式(2)の関数形からある場所の温度は、$t$1/2を基底とした多項式で与えられる。

この基本解を用いて、境界条件や初期条件が与えられた場合に求められる解(非定常温度場)がいわゆる順問題解と呼ばれている。一方、1次情報としての既知量(ここでは、温度場)から逆に境界条件や初期条件あるいは関連する熱物性を推定する方法が逆問題解析となる。

熱伝導における逆問題は、主に固体内の温度場から境界条件や熱物性値を推定することになるので、対象とする系の初期温度は、$T(x, y, z)$ = 0 としても一般性を失わないので、これ以降では、$T(x, y, z) $= 0とする。

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