スケールシフト思考― 視点を変えると世界が変わる
第8回 災害復興過程をスケールシフトで考える

「機械工学に関わってきて、その知識をさまざまな状況にいかに活かせるか」ということを、スケールシフトを考えながら自問してきた。と言うのも機械工学をあまり意識しない生活の中で発生した事象の理解に機械工学の思考(知識)を適用できると考えるからである。本稿では私が経験してきた東日本大震災以降の震災復興プロセスを取り上げる。
▼復興支援におけるスケールシフト
東日本大震災はもう15年前にもなるが、その被害は想像を絶するものであった。今でも2011年3月11日午後2時46分と発生時刻まで記憶していることは、そのインパクトが大きかったことを示している。それまで科学が自然に打ち勝てるとイメージしてきたが、被災地の現状を目のあたりにすれば自然の驚異に人間はかなわないと、ショックを受けた。
震災当時は復旧・復興を目標にそれぞれの立場で多くの人が関わってきた。今振り返ると、「復興」と十把一絡げに言うが、それほど単純ではない。各組織や各人は時間がないだけに場当たり的な計画とその実行であり、全体をみればシステマティックにはなされてこなかったと思う。復興に関わったものとしては、いつまで走り続けるのだろうかとゴールの見えないマラソンを必死に走ってきたと思う。過去を反省しながら、概念設計や詳細設計のごとく、システムとしての役割などを整理しておくことが今後の災害復興に役立つものと考えている。
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キーワード:スケールシフト思考― 視点を変えると世界が変わる
装置製作:高山芳の
(多摩美術大学大学院美術研究科デザイン専攻 統合デザイン領域 在籍)
金属・磁石・モーターなどの単純なメカニズムを用いた装置は、重力や摩擦を受け入れながら、ある行為を繰り返します。その姿は、私たちが呼吸し、脈を打ちながら生きていることを思い出させます。本誌では、学部の卒業制作である 10 体の装置〈脈拍〉を中心に、全 12 体の作品を紹介します。