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2019/7 Vol.122

【表紙の絵】
外来種を捕まえるロボット

髙島 史堅 くん(当時6歳)

池や湖の外来種を捕まえ、
在来種を守るロボット

バックナンバー

感性認知工学の可能性

心拍を用いた「かわいい」感の測定

大倉 典子(芝浦工業大学)

はじめに

コンピュータやインターネットなどの情報通信基盤が整備された21世紀の高度情報化社会において、日本生まれのゲーム・マンガやアニメーションなどのいわゆるデジタルコンテンツが世界中に広がっている。一方、従来のものつくりの価値観である性能・信頼性・価格に加え、感性を第4の価値として認識しようという国の取り組みも開始された(1)。感性工学を研究している筆者らは、日本生まれのデジタルコンテンツの人気の大きな要因として、高度できめ細やかな技術力と共に、キャラクターなどの「かわいさ」が挙げられると考え、人工物の感性価値としての「かわいい」に着目し、これを系統的に解析する研究を2007 年に開始した。

工学研究の先行事例が無かったため、まず文化論的な先行研究を調査した結果、「かわいい」に関して、最近の研究(例えば(2)(3))において、以下の共通認識があることがわかった。

・ 日本発の感性的な価値である。

・ 「愛らしい」「すてきな」などの前向き(肯定的)な意味を持つ。

日本において、現在の「かわいい」という価値に関する記述の起源は、枕草子の151 段「うつくしきもの」にあると言われている(3)。そして縄文時代の土偶から江戸絵画に至るまで、「かわいい」は日本において価値であり続けた(4)。またCheokらは、日本の「かわいい」は警察のマスコットキャラクターや危険な場所への警告など、色々な組織の種々の目的で使用されており、恐怖感の減少や退屈な情報を目立たせるなど、かわいいデザインの持つ可能性に言及している(4)。さらに2006年元旦には「『かわいい』はもはや国際語」と朝日新聞に記載され、2009年には外務省によりポップカルチャー発信使(通称カワイイ大使)が任命された。さらに毎年6月にパリで開催されるJapan Expoでは、Cool Japanの一環として日本の「かわいい」文化が紹介されている。また参考文献(5)(6)などでは、海外での日本の「かわいい」に対する関心の高さが紹介されるなど、海外への今後のさらなる展開も期待されている。

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