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2022/9 Vol.125

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特集 つながる機械 ~機械と通信の融合~

5Gの高度化と6G

須山 聡〔(株)NTTドコモ〕

はじめに

移動通信システムは、これまで約10年ごとに新世代の方式へと進化しながら発展してきた。1980~90年代の第1世代から第2世代までの移動通信システムでは、音声通話がメインで簡単なメールができる程度であったが、2000年代の第3世代移動通信システムから、写真、音楽、動画などのマルチメディア情報を誰でも扱える時代になり、2010年からサービスが開始された第4世代移動通信システム(4G)では、LTE(Long Term Evolution)方式による100 Mbpsを超える無線通信がスマートフォンの爆発的な普及を支えた。そして、第5世代移動通信システム(5G)による商用サービスが2020年3月から国内で開始され、現在は最大通信速度が4 Gbpsを超えるサービスが提供されるところまで来た。5Gには、高速大容量、低遅延、多数端末同時接続といった技術的な特長があり、4Gまでのマルチメディア通信サービスをさらに高度化することに加え、人工知能(AI: Artificial Intelligence)やIoT(Internet of Things)とともに、産業や社会を支える基盤として新たな価値を創出することが期待されている。

今後は、5Gはさらに高度化された5Gシステム5G Evolution / 5G-Advancedや、次世代の移動通信システムである第6世代移動通信システム(6G) / Beyond 5Gに進化していく(1)(2)。5G Evolution & 6GとAI技術を組み合わせことで、図1に示すように、実世界をサイバー空間上に再現し、そこから未来予測や新たな知を獲得するサイバー・フィジカル融合(CPS: Cyber-Physical System)を実現・高度化することで、さまざまな産業分野において新たなサービスやソリューションの創出に繋がると期待されている。そのため、6Gは2030年代の産業や社会を支える情報通信インフラとして位置付けられており、世界中で研究開発がすでに開始されている。当社も2020年1月に5G Evolution & 6Gで目指す世界と無線技術の展望について記載したホワイトペーパーを公開しており、それに関連する記事も執筆している(1)(3)(4)。加えて、これらの技術革新に対して、NTTが提唱するIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)の光を中心とした革新的なネットワーク・情報処理技術(5)を、5G Evolution & 6Gと有機的に融合することで、さらなる技術的な進化を遂げることが期待されている。

本稿では、6Gに関する国内外動向やスケジュール展望、当社が考える5G Evolution & 6Gで目指す世界、無線技術の検討領域や展望、それらに関する最新の取り組みについて概説する。

図1 6Gが実現するサイバー・フィジカル融合の高度化(1)

5G開発経緯と6G関連スケジュール

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