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2019/11 Vol.122

【表紙の絵】
どこでも線路をつなげる機械
杉平 宗将 くん(当時4歳)
この機械は、どこでも線路をつなげます。深海や山や宇宙にも行けます。つないだ線路は回収して、また使えます。通ったあとは、元通りです。海や魚にも優しい線路です。ぼくは、この機械を使って虹の上をわたりたいです。(途中にカプセルに入って休む所もあります。絵には線路を渡ってニコニコの人の顔が、描いてあります。信号もついているので、ぶつかりません。)

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特集 鉄道車両研究開発の最前線

ステンレス鋼製車体関連技術のイノベーション

及川 昌志〔(株)総合車両製作所〕

-抵抗スポットからレーザ溶接への技術革新-

はじめに

2019年9月30日の時点で、国内のステンレス車両のシェアは61%に達する。日本初のステンレス車両は、東急車輛製造株式会社(以下、東急車輛、現:株式会社総合車両製作所)が1958年に製造した東急電鉄5200系である。この5200系は、東急電鉄の各線、上田電鉄で活躍した後、先頭車両の5201号車は2008年から当社横浜事業所で保存されている。そして、東急電鉄5200系と後述する東急電鉄7000系は、技術・経済・社会・文化面での普遍的価値が高く評価され、日本機械学会「機械遺産」、産業考古学会「推薦産業遺産」に認定されている。図1に示すように製造から61年が経った後でも製造当時と変わらない外板の輝きを保っている。
東急電鉄5200系は、通称青ガエルと呼ばれ、現在は渋谷駅前に展示されている普通鋼製5000系の外板をステンレス鋼に代替したセミステンレス車両である。外板は高い耐食性を持つステンレス鋼であるものの、内部骨組みは普通鋼製であるため、耐食性の課題から市場ではオールステンレス車両の要求が高まっていた。
鉄道事業者にとって、ライフサイクルコストの低減は、安全に次ぐ命題である。ライフサイクルコストは、イニシャルコスト、ランニングコスト、メンテナンスコスト、リサイクルコストで構成するが、オールステンレス車両は、腐食代を考慮しなくとも済むため、その分の軽量化が可能で、また、定期的な車体の塗装が不要で、ランニングコストとメンテナンスコストの低減が期待されていた。

図1 東急電鉄5200系5201号車(1)

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