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2019/11 Vol.122

【表紙の絵】
どこでも線路をつなげる機械
杉平 宗将 くん(当時4歳)
この機械は、どこでも線路をつなげます。深海や山や宇宙にも行けます。つないだ線路は回収して、また使えます。通ったあとは、元通りです。海や魚にも優しい線路です。ぼくは、この機械を使って虹の上をわたりたいです。(途中にカプセルに入って休む所もあります。絵には線路を渡ってニコニコの人の顔が、描いてあります。信号もついているので、ぶつかりません。)

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特集 鉄道車両研究開発の最前線

アルミニウム合金製構体~A-trainと海外展開

川崎 健〔(株)日立製作所〕

はじめに

鉄道は、環境にやさしく、安全かつ大量に乗客や貨物を輸送できる交通機関であり、公共交通の手段として世界的に利用者が増加している。利用者との接点が多く、鉄道の顔ともいえる象徴的な存在が車両であり、輸送の安全や乗り心地を確保するために重要な役割を果たす。鉄道車両のうち、強度や剛性を負担する構造部分を専門用語で構体(こうたい)と呼ぶ。本稿では、アルミニウム合金で構成した構体に着目し、我が国における構造の変遷と、アルミ合金を採用した“A-train”とその海外展開について概観してみたい。

アルミニウム合金製構体の誕生と進化
木材、鋼からアルミニウム合金へ

図1に、我が国の鉄道営業最高速度と構体に使用する材料の変遷を概略として示す(1)。鉄道が敷設された当初、構体は主に木材で構成されていた。その後、安全性の向上や輸送力増強に伴う大型化の必要性から、入手しやすく強度が高く加工が容易な鉄鋼が主流となった。さらに、主に軽量化や防食などの観点から、アルミ合金やステンレス鋼の採用が進んだ。図2に、構体を構成する材料ごとに分類した電車の生産両数について、1997年から現在までの推移を示す(2)。最近ではアルミ合金とステンレス鋼が主流を占め、2018年度には、アルミ合金製が977両、ステンレス鋼製が845両製作されている。

図1 構体に使用する材料の変遷

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