日本機械学会サイト

目次に戻る

2019/11 Vol.122

【表紙の絵】
どこでも線路をつなげる機械
杉平 宗将 くん(当時4歳)
この機械は、どこでも線路をつなげます。深海や山や宇宙にも行けます。つないだ線路は回収して、また使えます。通ったあとは、元通りです。海や魚にも優しい線路です。ぼくは、この機械を使って虹の上をわたりたいです。(途中にカプセルに入って休む所もあります。絵には線路を渡ってニコニコの人の顔が、描いてあります。信号もついているので、ぶつかりません。)

バックナンバー

特集 鉄道車両研究開発の最前線

中央新幹線の実現に向けた超電導リニアの開発

鳥居 昭彦〔東海旅客鉄道(株)〕

はじめに

2011年に国土交通大臣から東海旅客鉄道(株)に対して超電導浮上式鉄道(以下、超電導リニア)による中央新幹線(東京都・大阪市間)建設の指示がなされ、超電導リニアの開発は大きな節目を迎えた。これは夢の技術と呼ばれて久しい超電導リニアが、研究・開発のフェーズから現実の建設・営業のフェーズに移行したことを示唆している。2013年に山梨実験線を18.4kmから42.8kmに拡大したことで、営業線を想定した長距離走行や長大トンネルの走り抜け、勾配などの検証試験が可能となった。これと同時に、営業線仕様のプロトタイプであるL0系車両を14両投入し、現在に至るまで累積走行距離約200万kmに及ぶ走行試験データから、長大編成走行や長期耐久性検証など営業線に向けて必要なデータ取得を行ってきた。2020年春には、L0系車両をさらにブラッシュアップした改良型試験車を製作し、営業運転を見据えた車両機能の検証を行っていくことにしている。本稿では、超電導リニアの開発経緯と今後の展望について述べる。

超電導リニア開発の歩み

黎明期

旧国鉄が次世代高速車両の開発に着手したのは、1962年、東海道新幹線開業の2年前のことである。空気浮上式などさまざまな形式の高速鉄道の可能性が検討されていたが、1969年からは、アメリカのブルックヘブン国立研究所のパウエル、ダンビイ両博士による超電導磁気浮上に関する論文に着目し、地上から10cmの浮上が可能な超電導磁気浮上方式の研究を推進した。ドイツでは常電導電磁石によるシステム(中国・上海で営業運転されているトランスラピッドシステム)を開発していたが、1cm程度の浮上高さしか確保することができず、地震が頻発する日本では浮上高さを充分に大きくする必要があるという判断に基づいている。

会員ログイン

続きを読むには会員ログインが必要です。機械学会会員の方はこちらからログインしてください。

入会のご案内

パスワードをお忘れの方はこちら

キーワード: