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2020/6 Vol.123

表紙の説明:これは、出力10万kWレヒートガスタービンの高圧圧縮機部分である。1978年から10年間、通商産業省工業技術院のムーンライト計画(省エネルギー技術研究開発)の中で開発されたもので、全長21mある。東京電力袖ケ浦発電所に設置して運転研究の結果、総合熱効率52%を得た。
[日本工業大学工業技術博物館]

表紙写真 北原 一宏

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特集 人間を拡張する機械

建設機械のためのヒューマンセントリックインターフェース

伊藤 卓・栗田 雄一(広島大学)

コベルコ建機夢源力共創研究所の紹介

コベルコ建機夢源力(むげんりょく)共創研究所は、広島大学が設けた「民間企業等外部機関研究所制度」を利用した第1号として広島大学内に2018年に設置された研究所である。広島大学とコベルコ建機(株)は2007年より共同研究を開始、2015年にはコベルコ建機次世代先端技術共同研究講座を設置し、快適性の向上などを目的とした高機能油圧ショベル技術の研究開発を行ってきた。これを発展させ産学・異分野連携を強化し、これまで以上に高い次元の研究活動を可能にすることで、社会にとって新たな価値、すなわち夢を実現していく建設機械を創り出す研究・開発を行うために本研究所は設置された。研究所は複数の共同研究講座・共同研究・学術指導で構成されており、筆者はこのうち次世代ヒューマンインターフェース共同研究講座に所属し、油圧ショベル、特に遠隔操作に関わるインターフェースについて研究を行っている。本稿では、まず油圧ショベルについての説明、現在の問題点と我々の目指す姿について触れ、共同研究講座で実施している研究事例について紹介する。

人間を拡張する機械としての油圧ショベル

建設機械とは土木建設工事に使われている機械の総称である。中でも油圧ショベルは、
・アタッチメント(作業装置)、旋回、走行の動作を組み合 わせると、複雑な動きができる
・掘削だけでなく、積み込み、整地もできる
・アタッチメントの種類が豊富で、上記作業以外にも目的に応じて多用途に使用できる
などの理由から多く使用されており、2019年度の建設機械生産実績統計(台数ベース)においても油圧ショベル(ミニショベル含む)は49%と半数近くを占める(1)。油圧ショベルは、掘る、運ぶ、吊り上げる、分別する、解体する、積み込むなどの動作を人間が行うよりはるかに大きなスケールで実現するものであり、この意味においては人間の身体能力を拡張する人間拡張デバイスとみなすことができる。

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