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2021/5 Vol.124

工部大学校の「機械学」教育機器(機械遺産第100号)

ダブル・ユニバーサル・ジョイント

明治8(1875)年/真鍮、鉄、木製台座/H150, W400, D300(mm)/東京大学総合研究博物館所蔵
工部大学校を示す「IMPERIAL COLLEGE OF ENGINEERING. TOKEI. 1875」の金属プレート付。工科大学もしくは工学部の備品番号の木札があるが判読不能。

上野則宏撮影/東京大学総合研究博物館写真提供/インターメディアテク展示・収蔵
[東京大学総合研究博物館]

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会長挨拶

会長退任のご挨拶

2020年度(第98期)会長 川田 宏之

一年間の短い期間でしたが、慣れない小職を献身的に支援して下さった学会事務局の皆様、また副会長の方々や理事会メンバーの絶大なるご理解とご協力に感謝する次第です。

本年度は世界的な規模で新型コロナウイルス(COVID-19)感染症が拡大し、自粛生活を余儀なくされ、また経済活動に甚大な被害があった歴史的な一年でした。4月に緊急事態宣言が発出され、本会の行事はこの宣言を前後に中止あるいは延期となってしまい、また宣言解除後はオンライン形式での講演会・講習会が当たり前となり、現在でも状況は変わっておりません。一方で、学会行事の企画はかなり早い段階で開催の可否とその要領を決定する必要がありました。本会では佐田筆頭副会長を委員長とするタスクフォースを立ち上げ、開催の必要性と感染防止対策の適切性を十分に検証する判定基準を策定しました。これに基づいて行事開催の判断をする事を公正かつ厳格に対応して頂きました。全国の学会に先駆けてこのような判定基準を設け、随時迅速に決定していく対応の仕方に関して、高く評価できると思っています。
社会の劇的な環境の変化の中、先んじて情報系の学会がオンラインでの行事開催を成し遂げました。本会でもロボティクス・メカトロニクス部門が先陣を切って5月にオンライン形式での部門講演会を成功させました。ここで新たな講演会のあり方が認知され、突然、学会内でWeb形式での講演会スタイルが現れたと思っております。4月の定時社員総会、8月の「機械の日」や9月の「年次大会」も初めてオンライン開催となりました。徐々に非日常が日常に切り替わって行く時間の流れを目の当たりにしたことになります。特に、学会の一大イベントである「年次大会」を運営していただいた実行委員会の皆様におかれましては、このように感染症のリスクを回避しながら見事成功裏に導いて下さり、深く感謝申し上げます。
当然の事ながらオンライン形式での行事のあり方では、従来当たり前のように行っていた対面での自由闊達な議論や、学会参加の楽しみの一つでもある懇親会等を実施できません。しかし、徐々にオンライン形式の会議のメリットも実感するようになり、出張の経費と時間の削減に関しては相当利便性が高いと認識されるようになったと思っております。特に、講習会等のオンライン形式のあり方は、仕事の合間に気軽に参加できるようになったお陰で、参加する側のハードルも下がり、結果として多くの参加者を集めることができたのではないかと感じております。
さて今年度は「新たな時代に相応しい学会」を目指し、次の3点を掲げて取り組みました。
(1)分野横断・産学連携の促進による会員満足度の向上
(2)学会主要行事としての年次大会・講演会のさらなる活性化
(3)新部門制の試行を通した部門間連携の強化
(1)に関しては学会誌の中でも紹介しましたので、詳細に関しては述べませんが、今年度は「少子高齢化社会を支える革新技術の提案」、「持続可能社会の実現に向けた技術開発と社会実装」、「機械・インフラの保守・保全と信頼性強化」、「未来を担う技術人材の育成」の4つのテーマを設定し、来年度の年次大会に向けてテーマ毎のメンバーで闊達な議論を頂きました。(2)については、活性化のための新たな施策が十分展開できませんでしたが、行事オンライン開催の合理性と利便性を同時に体感し、ポストコロナ時代の新たな方向性に触れることができたと思っています。(3)にある新部門制は今年度から試行が開始され、分野連携委員会および部門評価委員会が立ち上がりました。既に各部門から様々な分野連携企画が提案され、具体的な活動が開始されています。
COVID-19の未曽有の危機を克服した社会は、恐らくはこれまでの社会とは大きく異なり、同時に想定もしなかった進化・変革が起こっていることと思います。その社会の変化を先取りして、学会の役割やあり方を変えていくことが本会にとって大変重要と考えています。そして社会からの期待に応えるべく、会員の皆様のご支援を得て、本会がさらなる発展を遂げることを期待しております。

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