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2021/8 Vol.124

機構模型

工部大学校の「機械学」教育機器(機械遺産第100号)

材料試験機

年代未詳/エリオット・ブラザーズ社製/ロンドン(英)/真鍮、鉄、木製台座/

H537, W354, D282(mm)/東京大学総合研究博物館所蔵

本体に「PORTER'S PATENT / ELLIOTT Bros. LONDON」の刻字あり。本資料の年代は未詳であるが、東京大学総合研究博物館には工部大学校を示すプレート付きの機構模型を含め、近代的な機械学教育のために明治期以降に導入された機器が現存する。

上野則宏撮影/東京大学総合研究博物館写真提供/インターメディアテク展示・収蔵

[東京大学総合研究博物館]

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Myメカライフ

異なる方向から現象に光を当てる

この度は日本機械学会奨励賞(研究)を頂き、光栄に思います。この賞の内容は、学生時代から現在に至るまで継続して行ってきた気流中の柔軟媒体に励起される空力弾性振動に関するものです。長い間継続してきた内容が評価されて嬉しく思います。本稿では、これまでの研究の道筋のダイジェストと研究の過程で気づいた研究の面白さ(醍醐味)について述べたいと思います。

私の研究のスタートは理工系の学部を卒業されたほとんどの方と同様に、卒業研究です。学部4年生になり研究室に配属されると、気流中の薄く柔軟な平板(以下柔軟媒体と表記します)に発生するフラッタに関するテーマを選択しました。この現象は、高機能性フィルムの製造工程で問題になっています。研究室に配属されて数カ月間は風洞実験を行いました。実験は順調に進みましたが、ほどなくしてあることに気づきました。パラメータを変えて数多くの実験を行えば傾向は見えて来るものの、実験だけでは不安定化機構の説明がつかないという点です。例えば、翼や橋梁のフラッタであれば、模型の内部に圧力測定機構を仕込んでフラッタ発生時の表面圧力を測定することで不安定化機構を探ることが可能です。しかしながら、厚さ1mm以下の極めて薄い構造物が相手ではその手法は適用することができません。そのため、詳細な不安定化機構を解明するには、理論解析の援用、つまりこれまでとは異なる方向から現象に光を当てることが必要であると気づきました。

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